2015 Fiscal Year Research-status Report
PINK1によるミトコンドリアの形態制御と機能調節
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26440106
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
岡 敏彦 立教大学, 理学部, 教授 (40263321)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 品質管理 / 細胞死 / PINK1 / Parkin |
Outline of Annual Research Achievements |
1.PINK1/Parkinを介した新たな細胞死(ネクローシス):PINK1とParkin依存性に起きる細胞死は,電子顕微鏡解析から細胞膜が破断したネクローシス様の死であることが明らかとなっていた。本年度は,この細胞死がアポトーシスでないことを確認するため,シトクロムCのミトコンドリアからの遊離,カスパーゼの活性化などの項目を検討し,非アポトーシス性の細胞死であると結論付けた。また,この細胞死は,ミトコンドリア膜電位の消失だけでなく,PINK1の恒常的な活性化においても起こることを明らかにした。その際,PINK1が活性化していればミトコンドリアの膜電位は保たれていても細胞死は起こり,PINK1がこの細胞死のカギとなる分子であった。PINK1を介した細胞死は,Parkin活性とプロテアソーム活性が必須であり,オートファジー活性に依存していなかった。この結果より,PINK1の活性化はミトコンドリアの選択的オートファジーとは別に,細胞死を引き起こすことが明らかとなった。 2.PINK1/Parkinを介したミトコンドリア品質管理の新たな制御機構:cAMP/PKA経路がPINK1/Parkinを介したミトコンドリア品質管理を負に制御するため,PKAにリン酸化修飾される基質を探索したところ,ミトコンドリアタンパク質複合体MICOSの2つのサブユニット(MIC60, MIC19)がフォルスコリン処理依存的にリン酸化されることを見出した。さらに,MIC60またはMIC19の発現抑制は,PINK1とParkinの障害ミトコンドリアへの標的化を阻害したことから,cAMP/PKA経路の下流でミトコンドリア品質管理に働く因子としてMIC60とMIC19が強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
PINK1/Parkinを介した細胞死の分子機構は,オートファジーと異なり,プロテアソームが必須な新たな細胞死であることが分かり,PINK1が細胞の品質管理だけでなく,死をも制御していることが明らかとなった。PINK1/Parkinを介したミトコンドリア品質管理のcAMP/PKA経路による制御機構では,下流で働くと考えられるミトコンドリアタンパク質を同定し,その発現抑制とPINK1/Parkinのミトコンドリア標的化の関連性を示したことで,全体像の大枠が見えてきた。線虫PINK-1が司るミトコンドリア形態制御機構に関わる因子の同定のためのスクリーニングは継続中であり,来年度には完了する予定である。以上の点により,本研究は,当初の計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は,線虫PINK-1が司るミトコンドリア形態制御機構に関わる因子の同定を完成させ,また,PINK1のミトコンドリア標的化・安定化機構についても注力して行く。加えて,PINK1/Parkinを介した細胞死の分子機構とミトコンドリア品質管理のcAMP/PKA経路による制御機構については,論文として報告できるように進めていく。
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Causes of Carryover |
線虫のスクリーニングが少し遅れてたため,消耗品費を最終年度に少額繰り越すことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
すべてを消耗品費としてあてる予定である。
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Research Products
(4 results)