2016 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of molecular roles of tetraspanin in dual oxidase activaiton
Project/Area Number |
26440107
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
森部 弘樹 久留米大学, 医学部, 助教 (90423102)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | テトラスパニン / TSP-15 / Dual oxidase(Duox) / 活性酸素(ROS) / 寿命 / ピロロキノリンキノン(PQQ) |
Outline of Annual Research Achievements |
活性酸素種(reactive oxygen species/ROS)は好気呼吸の有害な副産物とみなされてきたが、NADPHオキシダーゼファミリーによって生理的に産生され、生体にとって多面的な役割を持つ分子であることも分かってきている。Dual oxidase (DUOX)/BLI-3はROSのひとつである過酸化水素を産生し、その活性化にはテトラスパニンTSP-15が必要である。TSP-15がDUOX/BLI-3活性化に果たす分子的役割を探索するために二次元電気泳動法を用いたプロテオーム解析を行い、TSP-15存在下で異なる挙動を示す分子を確認したものの、そのDUOX活性化との機能的関連の証明には至っていない。一方でTSP-15キメラ分子を作製し、これらを用いたアッセイによりDUOX/BLI-3との相互作用や過酸化水素産生の活性化に必要な機能ドメインを明らかにした。 ROSは酸化ストレス因子として個体の老化や疾病の原因と考えられてきたが、近年ではミトコンドリアから放出されるROSが寿命延長などの効果をもたらすことも明らかとなり、ROSが生体にとって一方的な悪玉因子であるという見方は修正されつつある。名古屋大学と三菱瓦斯化学との共同研究においてDUOX/BLI-3が産生するROSが個体のストレス応答経路を活性化する事で寿命延長効果を示すこと、またこのROS産生にもTSP-15が関与することを明らかにした。またこの“寿命延長性ROS”が適切な濃度で産生されるためにはDUOX/BLI-3とROSを分解するペルオキシダーゼとの相互作用が必要であることを示した。さらに加えて、これまで複数の健康有効性が報告されていた補酵素ピロロキノリンキノン(PQQ)がヒトも含めたDUOX/BLI-3分子を活性化することを明らかにした。本成果は今後の老化研究において有効なモデル系となりうると考えられる。
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