2014 Fiscal Year Research-status Report
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26440119
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
羽毛田 聡子(鈴木聡子) 東京工業大学, 生命理工学研究科, 研究員 (90631482)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 軸索投射 / 視神経 / 時間的制御 / ショウジョウバエ |
Outline of Annual Research Achievements |
I)RNAiを用いたコンディショナルノックアウト 脱リン酸化酵素のLarとPtp69Dはショウジョウバエの軸索投射に必要な分子である。これらの2つの脱リン酸化酵素の二重 RNAiでは、R8はほぼ正常に、R7はメダラの表層のM1層で停止する。この表現型が、LarとPtp69Dの機能発現のタイミングによるものなのかを検証するために、温度依存的にRNAiの発現を制御できる系を用いて調べた。2重RNAi株に対してLARとPtp69Dのレベルを蛹期開始後25%で回復させるとR7の投射は完全に回復した。これに対し、50%や75%で回復させた系統ではR7の投射は完全正常化することはなくかった。一方、蛹開始後に2重RNAiを用いて活性を抑える実験では、蛹開始後12%では一部の神経が2重RNAi と同様にM1層で止まっていた。25%ではその割合が減少し、50%ではほぼすべての軸索が正常に投射することが分かった。この結果からLarとPtp69DがR7において蛹期25%から50%の間に重要な役割を果たしていると考えられる。 II) 分子が機能する時期の解析 ショウジョウバエの視神経は後部側から分化し、軸索はメダラ前部側に投射し、蛹化後約10時間で分化が完了する。そこで、リボソームタンパク質に変異が入ると細胞の成長速度が遅くなることを利用して、温度依存的に視神経のみでタンパク質合成速度を調節できる系を作成した。リボソームタンパク質活性の最も低くなる25℃では、視葉がほぼ消失していた。視葉が消失した原因は視神経が正しい時期に目標点まで到達しなかったことにより、細胞死が引き起こされたと考えられる。20℃では、リボソームタンパク質の活性はある程度回復していると考えられるが、複眼後部の神経投射が乱れ、本来取るべき経路をとらずに投射していた。これは、視葉の回転が始まる時期に関係した表現型であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたコンディショナルレスキューに先駆けて、来年度にかけて行う予定であった、脱リン酸化酵素の時間的条件について詳しく解析することができた。これまでのところ、遺伝子の機能する時期について、これまでに得られている既知の結果と矛盾はなく、この解析の系が有効であることが確認できた。遅れているコンディショナルレスキューの系統作成も現在進行中である。 さらに、最終年度に行う予定であった、成長速度が神経軸索の身長に与える影響について他の実験に先駆けて解析を行うことに研究計画を変更した。この結果は現在までに知られている遺伝子の機能に新しい知見を加えるきっかけとなるため、結果次第でこれからの計画が変わってくる可能性があったため先に行うことにした。得られた結果をふまえて、発現させる遺伝子の時期などを決定していくことを考えている。 以上、実験を行う優先順位を変更したため、今年度予定した実験で完了していないものが存在するものの、行った実験は来年度以降に行う予定であったものも含めて結果が得られていることより、研究は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
コンディショナルレスキューについて、必要な系統を作成し解析することを計画している。今年度は脱リン酸化酵素について主に解析してきたが、来年度はGogoについても詳しく実験を行いたいと考えている。また軸索の伸長と遺伝子の発現時期について、いくつかの遺伝子を利用して試したいと考えている。リボソームタンパク質のRNAiは20度で用いるのが適当であると考えている。しかし、これに加えて新たに遺伝子を発現させるためにGal4-UASシステムを用いることができないため、継続的に遺伝子を発現させることにより、表現型に変化が現れるかどうかをまず確認したいと考えている。得られた結果を踏まえて、さらなる系統作成などを必要に応じて行う予定である。
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Research Products
(2 results)