2014 Fiscal Year Research-status Report
生殖細胞の雄性分化におけるRNA制御とその破綻による精巣腫瘍発生の分子機構
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26440120
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鈴木 敦 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60467058)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 始原生殖細胞 / テラトーマ / RNA結合タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
Dead endは脊椎動物間で保存されたRNA結合タンパク質であり、ゼブラフィッシュやメダカにおいて生殖細胞の発生に必須であることが報告されている。マウスにおけるホモログ遺伝子Dead end1(Dnd1)は発生直後の始原生殖細胞に発現し、かつ、そのnull変異個体においては、移動期の始原生殖細胞が劇的に減少することが知られている。このことから、マウスDND1は移動期の始原生殖細胞の発生に重要であることが明らかになっている。しかしながら、生殖巣に到達した後の雄性分化におけるDND1の機能については不明であった。本研究において、申請者は DND1の条件付き欠損マウスを作製し、始原生殖細胞が生殖巣に到達した後にDND1を欠損させた。その結果、精巣性テラトーマを発症することが明らかになった。この結果は、DND1を欠損する始原生殖細胞が分化多能性細胞へと脱分化し、その後に様々な細胞種へと再度分化することによって精巣性テラトーマを発症したと考えられる。そこで、分化多能性細胞を蛍光標識するために、Nanog-GFPトランスジェニックマウスをDND1条件付き欠損マウスへと導入して蛍光を観察した。その結果、DND1を欠損する始原生殖細胞をGFPの蛍光で標識することが可能となった。平成27年度においてはGFP蛍光を用いたセルソーティングによってDND1欠損始原生殖細胞を単離し、その遺伝子発現についえて解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度にはDND1条件付き欠損マウスの表現型解析が主な計画であった。当初の目標通り、DND1条件付き欠損マウスにおける精巣性テラトーマ発症の詳細な表現型解析を行った。さらに、Nanog-GFPトランスジーンの導入によってそれらの細胞を可視化することにも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度においてはDND1結合タンパク質の機能解析を行う。具体的にはDND1との結合の生化学的な解析、局在等の細胞生物学的解析、さらには強制発現と機能喪失による生理的な解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度において、外部の研究機関から導入する細胞の到着が予定よりも遅れたため、計画通りに研究が進展しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
既に細胞は到着しているので、前年度の遅れを本年度で取り戻す予定である。研究計画そのものに変更は無い。
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Research Products
(3 results)