2014 Fiscal Year Research-status Report
初期胚において多繊毛細胞の分化・成熟・機能を制御する新規シグナル伝達経路の同定
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26440123
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
日下部 杜央 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (80378843)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アフリカツメガエル / シグナル伝達 / 多繊毛 |
Outline of Annual Research Achievements |
mab21ファミリー分子であるmab21-l3は、脊椎動物で保存された機能不明のタンパク質である。これまで我々は、アフリカツメガエルのmab21-l3が、初期胚表皮において多繊毛細胞とイオノサイトに発現していること、mab21-l3の機能を阻害すると、多繊毛細胞とイオノサイトの形成が阻害されることを見出していた。そこで、mab21-l3の機能阻害が多繊毛細胞やイオノサイトの初期の分化過程を阻害するかどうか検討したところ、原腸胚中期において両方の初期分化マーカーの発現が低下していることがわかった。さらに、イオノサイトが含まれないマウス気道上皮細胞の初代培養系において、mab21-l3の機能阻害によって多繊毛細胞の数が減少するが基底細胞の数は殆ど変化しないこと、mab21-l3の発現がNotchシグナルによって負に制御されることを見出した。 加えて我々は、アフリカツメガエルのMAPKファミリー分子ERK7の機能を阻害すると、多繊毛細胞に存在する繊毛の形態が異常になることをこれまで見出していた。そこで、繊毛形成に必須であることが知られていたアクチン制御分子CapZIP に着目して解析を進め、ERK7の機能阻害胚における多繊毛の形態異常が、CapZIPのリン酸化模倣変異体の過剰発現によって部分的にレスキューされることを見出した。従って、ERK7が少なくても部分的にはCapZIPのリン酸化を介して、多繊毛の形成を制御することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究目的であった、mab21ファミリー分子mab21-l3およびMAPKファミリー分子ERK7の機能解析を進め、それぞれ論文として発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
mab21-l3が多繊毛細胞分化を制御する分子機構、およびERK7が繊毛の形態を制御する分子機構を、より詳細に解析する。mab21-l3やERK7以外で多繊毛細胞に発現する可能性がある遺伝子の機能解析を行なう。アフリカツメガエル胚の多繊毛が外部に露出していることを利用して、繊毛の形態を制御する細胞外刺激の探索を検討する。
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Causes of Carryover |
当初の予定よりも効率よく研究が進み、投稿した論文の受理に至ったため、試薬等の消耗品の購入が少なかった。また、情報収集のために学会出張を予定していたが、情報収集なしで研究を進めることが出来たため、旅費を使用しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は主に、プラスミド抽出試薬、RNA抽出試薬、qPCR関連試薬、in situ hybridization 関連試薬、モルフォリノオリゴ、実験動物(アフリカツメガエル)などの購入に使用する。研究の進行状況に応じて、学会などにおける情報収集や発表のための旅費に使用する。
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Research Products
(4 results)