2015 Fiscal Year Research-status Report
初期胚において多繊毛細胞の分化・成熟・機能を制御する新規シグナル伝達経路の同定
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26440123
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
日下部 杜央 京都大学, 生命科学研究科, 講師 (80378843)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アフリカツメガエル / シグナル伝達 / 多繊毛 |
Outline of Annual Research Achievements |
MAPKファミリー分子であるERK7は、無脊椎動物から脊椎動物まで進化的に保存されているにも関わらず、その生理的機能は長らく不明であった。これまで我々は、アフリカツメガエルのERK7ホモログが初期胚表皮多繊毛細胞などの繊毛細胞に特異的に発現すること、ERK7が多繊毛の形成を制御することを示し、その分子機構の一端として、ERK7がWntシグナルの細胞内中継分子Dishevelledを介してアクチン制御因子CapZIPのリン酸化を促進することを見出した。そこで、ERK7による多繊毛形成の分子機構をさらに詳細に明らかにするため、酵母ツーハイブリッド法によって同定していたERK7結合候補分子およびその近縁分子の解析を行なった。ERK7結合候補近縁分子のアフリカツメガエル初期胚における発現パターンをホールマウントin situ hybridizationによって調べたところ、表皮や体節等の様々な組織において発現が観察された。さらに、ERK7結合候補近縁分子に対するモルフォリノオリゴをアフリカツメガエル初期胚にインジェクションすると、繊毛の形成が阻害されたことを示す表現型が得られた。 さらに、ERK7とは別の機能不明キナーゼ分子のモルフォリノオリゴをアフリカツメガエル初期胚の腹側割球にインジェクションし、尾芽胚期まで培養すると、表皮形成不全が観察された。この表現型は、以前我々が多繊毛細胞やイオノサイト形成の必須因子として同定したmab21-l3のノックダウンによる表現型と類似していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までの主な研究対象であったmab21ファミリー分子mab21-l3およびMAPKファミリー分子ERK7以外の分子の機能解析に着手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ERK7結合候補分子およびその近縁分子が繊毛形成を制御する分子機構を詳細に調べる。機能不明キナーゼ分子のノックダウンによる表皮形成不全と多繊毛細胞形成等の関連について検討する。
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Causes of Carryover |
予定通り研究が進み、試薬等の消耗品の購入が少なかった。また、情報収集等のために学会出張を予定していたが、日帰り可能な神戸市で学会が開催されたため宿泊費等が不要となり、旅費が少額で済んだ。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、プラスミド抽出試薬、RNA抽出試薬、qPCR関連試薬、in situ hybridization関連試薬、モルフォリノオリゴ、実験動物(アフリカツメガエル)などの購入に使用する。研究の進行状況に応じて、学会などにおける情報収集や発表のための旅費、論文の出版費用等に使用する。
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Research Products
(1 results)