2015 Fiscal Year Research-status Report
植物ホルモンシグナルクロストーク機構解明のためのDELLA複合体の網羅的解析
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26440132
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 英光 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (40724191)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ストリゴラクトン / ジベレリン / 植物生長制御 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物は様々な成長過程や外部刺激に応じて、多様な植物ホルモンシグナルを機能させている。それら植物ホルモンシグナルは互いに巧妙にクロストークを行いながら調節し合っている。このクロストーク機構の全容を知ることは基礎的にも応用的にも重要な課題であるが、未解明な点も数多い。本研究では、クロストーク機構において重要であると考えられる、ジベレリン情報伝達の抑制因子DELLAタンパク質の相互作用因子を網羅的に解析することを目的にしている。 昨年度には、スクリーニング開始の前段階として、35Sプロモーター―TAPタグ―RGAタンパク質を発現するシロイヌナズナを用いて、免疫沈降法によるRGAタンパク質相互作用因子の同定の予備実験を行いスクリーニングの実験条件を整備した。ところが、特異的な結合タンパク質は検出されなかった。条件検討をさらに進めているがまだ途上である。 このようにDELLAタンパク質の相互作用因子の探索については難航しているが、DELLAタンパク質が他のホルモンとのクロストークにどのように関与するのかということに関しての解析も同時に進めており、これに関してはいくつかの新たな知見を得ることができた。DELLAタンパク質はサリチル酸シグナル伝達に部分的に関与していた。また、ジベレリン情報伝達によるストリゴラクトン生合成制御にも関与していることを発見した。この現象を利用し、イネにおいてDELLAタンパク質の機能を根特異的なRNAi法で抑制することにより、根特異的にジベレリンシグナルを亢進させるとそのイネの根におけるストリゴラクトン内生量が低下することが認められ、新たなストリゴラクトン合成制御法を開発することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度ある程度構築できたと思われたスクリーニング系がうまく機能しなかった。条件検討のやり直しに時間がかかってしまった。一方、DELLAタンパク質の植物ホルモン間シグナル伝達クロストークに関する解析では、いくつかの興味深い結果が得られ、それを応用した新たなストリゴラクトン合成制御系も確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度検討した条件を用いて、相互作用因子の網羅的解析を行う。また、他のプロジェクトの共同研究者が用いているDELLAタンパク質の発現系と、相互作用因子の解析系を用いて系の構築を行ってみる。その後網羅的にプロテオーム解析を行う。次に、さまざまな植物ホルモン処理条件においてこれらの相互作用因子のパターンがどのように変化するのかを調べ、特徴的な挙動を示す相互作用因子を同定する。
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Research Products
(17 results)