2016 Fiscal Year Research-status Report
茎頂分裂組織における細胞層間コミュニケーションの分子的実態解明
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26440133
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 光知 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (20343238)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | シロイヌナズナ / 茎頂分裂組織 / L1層 |
Outline of Annual Research Achievements |
被子植物の茎頂分裂組織は、構造的には外衣ー内体説に基づいた細胞層構造をもち、時空間的に機能制御された細胞集団である機能ドメインから構成されている。本研究課題では、細胞層間、機能ドメイン間のコミュニケーションに注目し、コミュニケーションの分子的実体を明らかにすることによって、植物発生プロセスにおける茎頂分裂組織の役割について理解を深化させることを目指している。 平成28年度は、シロイヌナズナ茎頂分裂組織における細胞層構造の構築に必須な鍵因子であるPDF2ならびにATML1の機能制御に注目した。その結果、これら鍵因子の機能制御には、脂質の結合が重要な役割を果たしていることが明らかになった。また、鍵因子とその相互作用因子間のタンパク質間相互作用においても、脂質が重要なはたらきを果たしている可能性が強く示唆されている。現在、鍵因子と相互作用因子の間のタンパク質間相互作用に関して、BiFC (Bimolecular fluorescence complementation) 法を利用した時空間的な解析を行なっている。また、鍵因子と相互作用する脂質種の同定に向けた新たな取り組みを開始している。こうした新しい視点から茎頂分裂組織における細胞層間、機能ドメイン間のコミュニケーションの実体理解に取り組むことによって、植物発生プロセスにおける新たな制御機構、ロジックを提供することが可能になると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
層構造構築の鍵となる制御因子の機能制御に新たな制御階層を見出した。若干の変更はあるものの、興味深い成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
論文として成果を公表することに最大限努力する。
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Causes of Carryover |
被子植物の茎頂分裂組織におけるL1細胞とL2細胞の細胞層間コミュニケーションにおいて、特定の脂質種が重要である新規知見を発見した。そのため、結論を明確にするための、より詳細な実験の実施が必要となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬、消耗品の購入ならびに研究うちあわせ、成果発表のための旅費に使用する。
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Research Products
(3 results)