2014 Fiscal Year Research-status Report
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26440134
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
酒井 達也 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10360554)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 植物基礎科学 / 光環境応答 / 光屈性 / 根 / オーキシン / 転写制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
根の光屈性にはオーキシン不均等勾配によらない ARF転写因子を介した偏差成長システムが働くことが示唆されている。そこでH26年度、ARF転写因子ファミリーの機能をさぐるべく研究を進めた。光屈性に正に働く ARF7・ARF19 の転写後発現制御を調べるべく、YFPまたは転写抑制ドメインを融合した組換え遺伝子を作成し、シロイヌナズナ植物に遺伝子導入した。現在、薬剤耐性個体を選抜・育成中である。 ARF因子の機能調節に働くAux/IAA因子について、その突然変異体を収集し、機能を解析中である。す7つの iaa 優性変異体について表現型を観察し、どれも根の光屈性に正に働く因子が存在しないことを明らかにした。現在、iaa 優性変異体を網羅的に作成している研究室から種子を分譲してもらい、それらの突然変異体についてもH27年度に解析を行う予定である。 根の光屈性に阻害的に働く薬剤の探索をオーキシン類似体やセカンドメッセンジャー阻害剤などを中心に進めているが、未だ光屈性の分子機構にヒントを与える薬剤は発見できていない。 根の網羅的な遺伝子発現パターンの解析には大量の種子が必要になるため、現在、種子の収穫を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
形質転換体作成や突然変異体収集、それに続く表現型解析はおおむね順調に進んでいる。計画2年目には解析にほぼ目処がつくと予想される。また根の青色光照射による遺伝子発現パターン変化の解析については、種子が予想よりも必要量が多いことが分かったため、一度世代を回して種子を収穫する期間分だけ、計画が若干遅れている。これも2年目夏までには結果がだせるものと予想している。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度に明らかになる結果によってその後の解析は大きく変化する。第一に、iaa 優性変異体集団及び ARF7/19に転写抑制ドメインを融合した優性変異体の解析によって、根の光屈性に著しい異常が観察される株が存在するか、第二に根の光屈性刺激による遺伝子発現パターンの変化の有無があるか、である。これらの結果を早急に明らかにすることによって、根の光屈性における遺伝子発現機能の重要性について評価を得たいと考えている。
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Causes of Carryover |
遺伝子発現の網羅的解析は消耗品費が多くかかることが計画されているが、H26年度に実施できず、H27年度に行うことになった。そのため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額はH27年度8月までを目処に、主に遺伝子発現パターンの網羅的解析の消耗品費として使用する予定である。
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