2016 Fiscal Year Annual Research Report
Functional analysis of auxin transcriptional regulators in the phototropic responses
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26440134
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
酒井 達也 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10360554)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 植物 / 光環境応答 / 転写制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物は光照射方向を認識して成長方向を変化させ、環境に適応する光屈性を示す。光屈性反応は植物ホルモン・オーキシンの不均等勾配依存的な偏差成長によって誘導されると考えられているが、我々は以前の研究より、根の光屈性誘導はオーキシン不均等勾配に依存していないことを示唆する結果を得た。本研究はオーキシン不均等勾配に依存しない光屈性誘導機構の解明を目的に、そこに関与することが示唆されたシグナル伝達因子の解析を行った。オーキシン受容体 TIR/AFB ファミリー、転写制御因子 Aux/IAAファミリーの網羅的な突然変異体解析を行った結果、TIR1、IAA19 の根の光屈性への関与は認められたがその他の因子については明確な関与は認められなかった。 平成28年度においては、既に関与が明らかな転写因子ARF7とTIR1、IAA19についてYFP融合タンパク質を自身のプロモーター制御下で発現する形質転換体を作成し、その発現パターンやタンパク質の細胞内局在、SDS-PAGEによるタンパク質発現・修飾の有無の検討を行った。しかし青色光及び光屈性誘導に働くフォトトロピンによる機能調節はおきていないことが示唆された。またフォトトロピン活性化に応答した遺伝子発現制御の網羅的解析を行い、複数のフォトトロピンシグナリング依存的な転写制御を受ける遺伝子を同定した。いくつかの遺伝子のプロモーター領域にはオーキシン応答シス配列の存在も見られたが、発現調節を受ける遺伝子群に共通して存在することはなく、その重要性は低いものと考えられた。今後更なる検討が必要であるが、以上の結果は、TIR1、ARF7、IAA19、各因子が根の光屈性に関与すること、しかしフォトトロピンのシグナル伝達経路下流で機能の調節をうける可能性は低いこと、を示唆した。
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