2016 Fiscal Year Research-status Report
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26440142
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高田 忍 大阪大学, 理学研究科, 助教 (40456992)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 表皮 / 転写因子 / シロイヌナズナ |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) ATML1タンパク質の転写後調節に関わるドメインの同定 平成27年度に構築した形質転換体を用いて、ATML1の転写後調節に関わるドメインの同定をおこなった。まずドメインAを欠失させたところ、ATML1タンパク質の蓄積量が増加することが分かった。一方、ドメインBの欠失により、ATML1の細胞質における蓄積が低下することが分かった。従って、ドメインAはATML1タンパク質の蓄積を抑制し、ドメインBはATML1の核局在を抑制していることが予想できた。A領域内の保存されたアミノ酸に変異を加えたところ、タンパク質の局在は変化せず、atml1;pdf2の表現型を回復させる能力は保持していた。したがって、他のアミノ酸配列がATML1の蓄積量を決めていると考えられる。B領域を欠失したATML1(ATML1dB)をATML1プロモーター制御下で発現させても、atml1;pdf2の胚致死表現型を回復できなかった。一方、ATML1dBを過剰発現すると、子葉の内側の組織で異所的な表皮形成を誘導することができた。このことから、B領域はATML1タンパク質の表皮誘導能そのものには影響を与えず、活性調節に必要であることが示唆された。
(2) ATML1過剰発現体のエンハンサー/サプレッサー変異体の解析 ATML1 の過剰発現表現型を亢進・抑圧する変異体候補13系統について、塩基配列の解析をおこない、GFP-ATML1遺伝子に変異を持たないことを確認した。さらに、強い表現型を示す変異体については、戻し交配とラフマッピングを進めた。その結果、一つの系統では、変異の位置を大まかに決めることができ、既知の表皮関連遺伝子の変異体でないことが予想できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究目標は概ね達成できたため。また、2回の学会発表をおこない、研究成果について議論することができた。成果の一部については、学術雑誌に投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) ATML1過剰発現体のエンハンサー/サプレッサー変異体の解析 これまでに得られた変異体について、詳細なマッピングを進め、遺伝子のクローニングを目指す。さらに、組織学的な観察をおこない、表現型の解析を進める。PCRによるマッピングや、候補遺伝子のシークエンスをするため、4月から10月ごろにオリゴDNAや、遺伝子工学キット、プラスチック消耗品を購入する。
(2) ACR4によるATML1のフィードフォワード制御の検証 ACR4はin vitroで転写因子をリン酸化する能力が示されている。ATML1は細胞質にも存在することから、ACR4 が ATML1 やそのホモログを直接修飾することで活性を調節している可能性がある。acr4 単独変異では表現型が弱いため、表現型を強めるale1との二重変異体 (acr4;ale1) で GFP-ATML1 タンパク質の挙動・効果を調べることでこの仮説を検証する。また、多重変異体の表現型を詳細に解析することで、表皮分化におけるACR4の役割を確かめる。PCRで遺伝子型を確認するため、4月から10月ごろに遺伝子工学キットやプラスチック消耗品を購入する。
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Causes of Carryover |
エンハンサー/サプレッサー変異体候補の戻し交配やマッピングの準備を優先したたため、表現型の詳細な解析やマッピングを次年度におこなうこととしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
変異タンパク質の過剰発現実験をおこなうため、遺伝子工学キットやプラスチック消耗品を購入する。エンハンサー/サプレッサー変異体のマッピングや表現型の解析を平成29年度にも継続しておこなうため、平成28年度の未使用額を、マッピングやシークエンス解析、組織学的な観察や、実験補助員の雇用、論文投稿などの経費に充てたい。
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Research Products
(4 results)