2015 Fiscal Year Research-status Report
抗菌ペプチドによる免疫器官の機能調節と高速分子進化法を用いた高機能アナログの創出
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26440161
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| Research Institution | Saitama University |
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Principal Investigator |
小林 哲也 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (00195794)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西垣 功一 埼玉大学, 理工学研究科, 名誉教授 (10107378)
菊山 榮 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 名誉教授 (20063638)
岩室 祥一 東邦大学, 理学部, 教授 (70221794)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | 抗菌ペプチド / fowlicidin / ファブリキウス嚢 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、代表者及び分担者が鳥類や両生類の免疫器官（ファブリキウス嚢、ハーダー腺など）で同定した抗菌ペプチド(AMPs)を対象に、その発現調節と生理機能の解析を進めるとともに、高速分子進化法の適用によるAMPの高機能アナログの創出を目指すものである。
平成26年度は、ウズラのファブリキウス嚢(BF)から fowlicidin-1, -2, -3 のｃDNAをクローニングし、fowlicidin-1と-3のmRNAは濾胞間上皮細胞に、fowlicidin-2のｍRNAは濾胞間上皮細胞と濾胞内で発現していることを明らかにした。また、 fowlicidin mRNAの発現は、グラム陰性菌と陽性菌の膜構成要素であるリポ多糖(LPS)とリポテイコ酸(LTA)により刺激される可能性を示した。
平成27年度は、fowlicidin mRNAの発現調節についてさらに解析を進め、fowlicidin-1と-3のmRNA発現は、ウズラへのLTAとLPSの投与により、それぞれ時間依存的に刺激されること、また、LTAとLPSの受容体として働くToll様受容体-2(TLR-2)とTLR-4のｍRNA発現がBF内に認められることを示した。さらに、グルココルチコイドは LPSによる fowlicidin-3 mRNA の発現増加を抑制することを明らかにした。加えて、fowlicidin-1のペプチドを新たに合成し、これを用いて大腸菌や黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性、LPSとLTAとの結合活性、LPS作用の中和活性などの生理活性について検討を進めた結果、fowlicidin-1ペプチドは、いづれの活性もにおいても fowlicidin-2 とほぼ同様の活性を示した。一方、AMPの高機能アナログの創出では、高速分子進化法を適用し候補ペプチドの取得に成功した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、抗菌ペプチドmRNAの発現調節機構と生理的役割を解析するとともに、高機能アナログを創出することを主な目的として研究を進めた。その結果、fowlicidin mRNA の発現調節におけるLTAやLPSの関与や抗菌活性を発揮する仕組みの一翼を明らかにするとともに、高速分子進化法を適用し、候補となるペプチドを得るに至った。これらの成果は、国内外の学会で発表済み、もしくは、発表予定であり、また論文投稿準備中である。このため、「（２）概ね順調」と判断した。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、前年度に得られた結果をもとにして、抗菌ペプチド(AMP)である fowlicidin の発現調節と免疫器官におけるこれらペプチドの生理的役割をさらに検討する。併せて、高速分子進化法により得られた候補ペプチドの生理活性を調べる。
fowlicidin mRNA の発現調節では、LTAやLPS以外の因子(ステロイドホルモン、ペプチドホルモン、アミンホルモンなど)の効果について検討する。また、fowlicidin の合成ペプチドが免疫器官(細胞)における免疫グロブリンやサイトカインなどのｍRNA発現に与える影響についても検討する。
AMP の高機能アナログの創出では、候補ペプチドを合成し、抗菌活性や抗酸化作用等に与える影響について解析する。
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| Causes of Carryover |
高速分子進化法の適用による抗菌ペプチドの高機能アナログの創出に関しては、候補ペプチドを得たのが平成28年に入ってから（27年度末）であった。このため、この候補ペプチドの抗菌活性の評価は平成28年度に行うことになった。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
既に候補ペプチドの配列は得られているので、平成28年度は、候補ペプチドを合成した後、抗菌活性等の生理機能の評価を行うとともに、当初の28年度に予定されている計画を進める。
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