2015 Fiscal Year Research-status Report
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26440173
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Research Institution | Okazaki Research Facilities, National Institutes of Natural Sciences |
Principal Investigator |
宮川 信一 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 助教 (30404354)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マウス / 女性ホルモン / 生殖器官 |
Outline of Annual Research Achievements |
輸卵管・子宮・膣からなる雌性生殖管は、生殖の場として生物の根源に関わる役割を担っており、その細胞増殖・分化は、女性ホルモン(エストロゲン)によってダイナミックに制御されている。女性ホルモンは生体の恒常性維持、生殖、発生・分化をはじめとした様々な局面で重要な機能を果たしているが、その女性ホルモンシステムの破綻は、乳癌や子宮癌・膣癌などの雌性生殖器官の癌の要因となる。本研究はマウス雌性生殖管をモデルとして、女性ホルモンと、その作用をメディエイトするシグナル因子の候補としてのWntシグナルとのクロストーク解析から、正常時のホルモン作用、及びホルモンシステム破綻のメカニズムを明らかにすることを目的としている。平成26年度は、上皮特異的女性ホルモン受容体アルファ(ERα)ノックアウトマウス及び器官培養系を用いた解析から、アンフィレギュリンの重要性を明らかにした。平成27年度は、アンフィレギュリンの組織局在や、プロモーター解析を行った。アンフィレギュリンは角質化上皮を持つ膣を含む器官で発現していた。また、転写開始点の上流1kbを用いた、培養細胞によるレポーターアッセイの結果、このプロモーターはエストロゲンに一部応答することが明らかとなった。さらに、エストロゲンがなくとも、AF1の領域を構成的に活性化させたエストロゲン受容体をトランスフェクションによっても活性化されることを明らかにした。エストロゲン非依存の細胞増殖は、前癌病変として位置づけられる。近年増加傾向にある女性生殖器系の腫瘍形成のメカニズムの一端に迫る研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度からの解析により、マウス膣における、ERαがコントロールする上皮-間質相互作用の実体に迫りつつある。特にERαの標的遺伝子としてアンフィレギュリンを同定と、その遺伝子発現制御解析は、今後のERαが関与する女性生殖器官の発生・分化メカニズム解明に大きく寄与すると思われる。これにより、周生期の女性ホルモン曝露モデルを利用したエピジェネティクス解析についての基盤(アンフィレギュリンなどをターゲットとして)ができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、遺伝子改変マウスを使った表現型解析を行っていく。上皮特異的女性ホルモン受容体アルファ(ERα)ノックアウトマウスのほか、既にWnt関連遺伝子のノックアウトマウス(ノックインマウス)の解析も進めていく。周生期の女性ホルモン曝露モデルを利用したエピジェネティクス解析については、上記のWnt関連遺伝子の遺伝子改変マウスのほか、アンフィレギュリン等の上皮成長因子をターゲットとする。
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Causes of Carryover |
マウスの飼育費は、使用ケージ数によって日々変化するものであることから、次年度に繰り越し分が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マウス飼育費にかかる経費として使用する。
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