2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26440178
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
菅原 道夫 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (30709374)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ニホンミツバチ / フェロモン / キンリョウヘン / サバミツバチ / キナバルヤマミツバチ / ローヤルゼリー / 3-HOAA / 10-HDA |
Outline of Annual Research Achievements |
キンリョウヘンの2成分、3-HOAA(3-hydroxyoctanoic acid)と 10-HDA (10-hydroxy-(E)-2-decenoic acid)がニホンミツバチ(A. cerana japonica)のroyal jelly に存在するという知見を昨年得て、今年は、セイヨウミツバチ(A. mellifera)、サバミツバチ(A. koschevnikovi)、ボルネオと台湾のトウヨウミツバチ( A.cerana indica 、A.cerana cerana )のroyal jellyに2成分が存在するかどうかをGS-MSで測定すると共に、2成分の混合物についてニホンミツバチでみられると同様な誘引効果があるかどうかを、現地に出かけて検定した。 セイヨウミツバチとサバミツバチのroyal jellyには、10-HDAはたくさん存在するが、3-HOAAは少量しか存在しなかった。それに反して、ニホンミツバチと同じ種とされ、亜種と区分されるボルネオと台湾のトウヨウミツバチには、ニホンミツバチと同様に、3-HOAAが多く含まれていた。 2成分の誘引効果を調べる検定試験では、サバミツバチはセイヨウミツバチ同様に全く誘引効果をしめさなかった。これに反して、ボルネオと台湾のトウヨウミツバチは、2成分に強く誘引された。 遺伝子を比較した先行研究では、サバミツバチはセイヨウミツバチと近縁であるとされる。今回得られた2成分の存在とその成分に対する誘引効果は、この先行研究を全く別の角度から補完することになる成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セイヨウミツバチとサバミツバチには、2成分が極めてわずか存在しなく、ボルネオと台湾のトウヨウミツバチ( A.cerana indica 、A.cerana cerana )のroyal jellyに2成分が多く存在すること、2成分に2亜種が誘引されることを明らかにすることが出来た。亜種にかかわらず、2成分が集合フェロモンと機能していることが明らかになった。それに比較して、セイヨウミツバチとサバミツバチでは、この2成分が集合フェロモンとして機能していないことが明らかにできた。さらに、これらの事実は、従来言われていた、セイヨウミツバチとサバミツバチの類縁であることを、全く異なる観点から証明できた。
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Strategy for Future Research Activity |
ニホンミツバチは、レタスに集まることが報告されている(横井智之(2005)ミツバチ科学26)。この集結にどのような成分が集合フェロモンとして機能しているか、これまでのキンリョウヘンの成分を決定した方法で明らかにしたい。新たな集合フェロモンの発見につながる可能性があると思われる。 前年度は、キナバル山で発生した地震の影響でキナバルヤマミツバチの調査・研究が行えなかった。今年度は、可能ならキナバルヤマミツバチの王台を入手してローヤルゼリーの成分をGC-MS で測定したい。さらに、2年前に発見できたキナバルヤマミツバチに寄生するダニの寄生率、種名の特定も行いたい。さらに、キンリョウヘンの成分に対する誘引効果もキナバルヤマミツバチで検定したい。
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