2016 Fiscal Year Annual Research Report
Mode of action of thyroid hormone in brain to open the sensitive period for learning
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26440182
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
本間 光一 帝京大学, 薬学部, 教授 (90251438)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経科学 / 行動学 / 脳・神経 / 動物 / 薬学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、T3がどのようなメカニズムで刷り込み学習の過程に作用するのかを明らかにすることを研究目的とし、以下の研究成果を得た。
1、GABA(γ-amino-butyric acid)受容体がT3による階層的な作用メカニズムの下流で働く受容体であることを発見した。そしてGABA-A受容体が、刷り込み学習に対して抑制的に働く受容体であり、GABA-B受容体は促進的に働く受容体であることを示した。このようなGABA-A受容体とGABA-B受容体の競合的な機能が刷り込み学習の習得に必要であることが示唆された。 2、刷り込み学習させるとIMM領域の神経細胞の棘突起(dendritic spine)内のアクチンの重合が亢進し、T3による作用が加わると抑制されることがわかった。そしてT3の作用と学習トレーニングの両方が揃った場合にのみ、PSD(シナプス後肥厚部)にAMPA受容体のサブユニットの集積が起こることを発見した。 3、ニワトリ脳のIMM領域から調製した急性スライスに対するT3の効果を電場電位測定法によって調べたところ、T3の投与によるP波の増強を検出し、後シナプス応答の増強効果を示した。また、ホールセル記録を行いT3によるIPSC(抑制性シナプス後電流)の減少を示した。これらの生理学的解析から、T3はGABAA受容体を介したCl-電流を減弱させることを示唆した。 4、孵化直後にT3が脳内流入することによって刻印付け学習が成立すると、その後の学習課題(反転学習(Reversal learning)やTask switching)の学習効率が顕著に上昇することを見出した。
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