2014 Fiscal Year Research-status Report
主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスII分子ペプチド積載機構の分子進化の解明
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26440201
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
橋本 敬一郎 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 教授 (70192268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
J・M Dijkstra 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 講師 (10387681)
岡村 和彦 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 准教授 (60132255)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | MHC / クラスII分子 / DM分子 / ペプチド積載機構 / 抗原提示 / 獲得免疫機構 / 肉鰭類 / 分子進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
古典的MHCクラスII分子は、有顎脊椎動物の獲得免疫系において、Tリンパ球への主として外来ペプチド抗原の提示という重要な機能を有している。この古典的MHCクラスII分子へのペプチド抗原結合を細胞内で非常に効率的に行うシステムがDM分子を中心としたペプチド積載システムである。本研究では分子進化上の要と考えられる動物種を用いて、このシステムに関わるクラスII遺伝子を単離し詳細な解析を行う。シーラカンスと同じ肉鰭類の肺魚がより四足類に近い事が報告されており、本研究では最適な肉鰭類として肺魚を対象に選んだ。肺魚は大別してオーストラリア、南アメリカそしてアフリカ産の数種が存在するが、本研究ではアフリカ産の肺魚を入手して実験に用いた。研究方法としては、研究実施計画に記した様に、DMシステムにおいて重要な相互作用領域に関わる古典的MHCクラスIIα鎖とDMクラスIIα鎖の2者について、その両方向からキーとなるアミノ酸残基の保存性または遺伝子そのものの存在に関して詳細な検討を行う。 肺魚のMHCクラスII遺伝子の単離・解析を行った。肺魚の組織よりcDNAを作成し、RACE法によりMHCクラスII遺伝子を単離・解析する。RACE法に用いる遺伝子特異的プライマーは、四足動物及び他の硬骨並びに軟骨魚類のMHCクラスII遺伝子単離の場合を参考にして設定する。5’RACE、3’RACEの反応を行い、cDNAの全長を明らかにする。 現在、得られた肺魚MHCクラス II遺伝子の詳細な解析を進めている。また、本研究において分子進化上重要と考えられる動物種として、四足動物のサラマンダーを加えることとした。同じ両生類のカエルからは、DM分子をコードする遺伝子が発見されている。肉鰭類及び両生類動物グループ類縁の本研究で重要な生物種のデータを増やすことにより、研究をより強力に進展させることができると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に記した様に、本年度は肉鰭類で四足動物に最も近いと考えられている肺魚を入手し、分子生物学的実験のスタートを切ることができた。また、研究実施計画には記していないが、本研究をさらに進展させる上で重要と考えられた四足動物のサラマンダーも入手し、こちらも分子生物学的実験を始める準備が整った。肺魚からは、MHCクラスII遺伝子の単離を試み、いくつかの候補遺伝子を得ることができている。詳細な解析はこれからであるが、おおむね順調に研究が進展していると判断している。サラマンダーからも同時にMHCクラスII遺伝子の単離を試みて、こちらもいくつかの候補遺伝子を得ることができている。詳細な解析を行った後、これからの研究計画に役立てて行きたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画では、初めに古典的MHCクラスII遺伝子の単離を行い、次にDMをターゲットに非古典的MHCクラスII遺伝子の単離に挑戦する予定であった。現在、肺魚及びサラマンダーよりMHCクラスII遺伝子候補を単離して来ているが、この詳細な解析結果に基づき、古典的及び非古典的MHCクラスII遺伝子の単離解析を進展させ、分子進化を論じる上で重要なアミノ酸群の保存性に関する情報が明らかになることが期待できる。上に述べた様に最初の計画では、古典的MHCクラスII遺伝子そして非古典的MHCクラスII遺伝子の順で単離解析を行う予定であったが、現時点ではその順は問わず、単離に成功したものからそれぞれ詳細な解析を加えて行き、時間を効率的に用いる予定にしている。また、研究実施計画にも記した様に、我々は原始的な動物グループの方向からの解析も計画しており、条鰭類の原始的なグループである分岐鰭類の解析を加えることも検討している。
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Causes of Carryover |
研究実績の概要に記した様に、肺魚以外にサラマンダーに関する情報を得る実験を進めている。本年度、サラマンダーから得られた遺伝子の染色体解析を予定したが、有効なプローブの調製に成功せず、予定がずれて次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
染色体解析に用いるプローブ調製を改善し、適切なプローブを得ることによって実験を推進させ、次年度使用額を使用して行く予定である。
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