2015 Fiscal Year Research-status Report
被子植物無胚乳種子種における胚珠内栄養分移動経路の多様性解析
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26440205
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
遠藤 泰彦 茨城大学, 理学部, 教授 (30250145)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マメ科 / 無胚乳種子 / ハエドクソウ科 / 内乳 / ハエドクソウ / ナガバハエドクソウ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、主な研究対象の無胚乳種子群であるマメ科の種子試料の収集を目的として、四国・九州・中国地方、さらに北関東周辺にて採集を行い、11種(Wisteria floribunda, Maackia tashiroi, M. floribunda, Millettia japonica, Lespedeza pilosa, L. cuneata, Rhynchoia volubilis, Amphicarpaea bracteata, Desmodium podocarpium, D. oldhamii, D. paniculatum)の種子液浸標本(様々な発達程度のもの)と証拠標本を得た。これらを材料に、現在内乳の発達過程の解析を進めている。また、これと平行して、無胚乳種子を持つ他の群であるハエドクソウ科ハエドクソウ属についても、試料収集を行なった。ハエドクソウ属については、無胚乳種子と言われているが、実際は、種子成熟時まで2層の内乳組織が存在し続けることを確認した。一方で、胚と内乳とを連絡する胚柄他の構造が認められず、どのように内乳から胚へ栄養分が移動するのか、今後の研究課題となった。なお、このハエドクソウ属の研究を進めるにあたり、材料の特定のため、正しい分類と学名の付与が必要なため、このことも平行して行った。その結果、日本においてはハエドクソウとナガバハエドクソウの2型が存在し、一方はPhryma nana, 他方はP. oblongifoliaの学名が正しいことを示し(植物分類学会富山大会での発表、および論文として投稿中)、今後の研究の基盤とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主たる対象である無胚乳種子植物群マメ科植物の種子の液浸試料を着実に収集している。これと平行して、被子植物の無胚乳種子植物群と言われている、キク科、ウリ科、ハエドクソウ科、シバナ科についても試料を収集し、解剖学的研究を進め、より広い見地からマメ科の無胚乳状態の実態を明らかにする方向に進めている。その過程で、材料の特定の基盤となる分類学的な問題の解決も進め、学会発表および論文原稿の投稿を行なっていることから、総合的に見ておおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
マメ科植物種子内の内乳と胚との栄養移動経路の解明のため、当初の解析手段であった、胚表面のクチクラ層の分布解明を進める。このため、樹脂包埋切片の作製を行い、nile redによる染色の後、蛍光顕微鏡による観察を行なう。特に、胚柄が早期に消失することが知られているネムノキ亜科植物について、カラザ側に認められる内乳吸器とカラザ、さらに内乳と子葉との間の組織的つながりの有無を詳細に検討する。また、今後の展開の端緒として、他の無胚乳種子植物であるキク科、ウリ科、ハエドクソウ科、シバナ科等についての、内乳の有無と内乳と胚との関係について明らかにする研究を開始する。
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Causes of Carryover |
本研究の実施年度が平成28年度まで継続するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度までの補完研究のために、試料作製のための消耗品費、必要な試料の採集旅費、さらに論文原稿の英文校正費用として使用の予定である。
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Research Products
(1 results)