2014 Fiscal Year Research-status Report
太平洋諸島ヤップ群島の固有陸産貝類相の多様性と起源に関する研究
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26440206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上島 励 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20241771)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 系統分類 / 種多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
パラオ諸島産ゴマガイ類(Hungerfordia属の内、縦肋が突出しない種)の分類学的再検討を行った。ゴマガイ類の体層の彫刻や形態の変異パターンを解析して、その形質状態についてのterminologyを整理した。また、7種の既知種について、タイプ標本および近年採集されたサンプルにもとづき、形態学的特徴を再記載した。さらに、13新種および6新亜種を新たに記載した。この成果はZootaxaにて印刷中である。Hungerfordia属はながらく1属1種とされていたが、これまでの研究から28種9亜種が認識され、パラオ諸島の陸貝で最も種多様性の高いグループであることが裏付けられた。 Calorine諸島固有のナンヨウエンザガイの1種Truckcharopa truckanaの解剖学的研究を行った。パラオ諸島に生息するPalline noteraは本種と共にTruckcharopinaea亜科に分類されていたが、PallineおよびTruckcharopaの属模式種の生殖器の構造が大きく異ることが判明した。一方、パラオ諸島産のPallineは同じくパラオに生息するSemperdonと生殖器の特徴は合致した。この結果は、パラオ諸島のナンヨウエンザガイ類はCalorine諸島の分類群とは近縁でないことを示唆しており、分類学的位置を変更する必要があると考えられる。ナンヨウエンザガイ類は、パラオ諸島とCalorine諸島間の固有陸貝の移動を示唆する例であると考えられていた。しかし、今回の知見は従来の仮説を支持しないため、他の科における類縁関係および両地域の生物地理学的な関係は再検討する必要があると考えられる
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究内容が外国研究者と競合しているため、新分類群の記載を本年度は優先した。一方、トラック島のサンプルを入手できたため、カロリン諸島との比較は進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
競合する外国人研究者とは共同研究をすることで同意したので、予定通り調査を推進するつもりである。
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Causes of Carryover |
外国人研究者と研究内容が競合していたため、新分類群の記載を優先した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に予定していた調査を実施する。
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Research Products
(1 results)