2015 Fiscal Year Research-status Report
太平洋諸島ヤップ群島の固有陸産貝類相の多様性と起源に関する研究
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26440206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上島 励 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20241771)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 系統分類 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヤップ島およびパラオ諸島のゴマガイ類について分類学的研究を行った。パラオ諸島固有のHungerfordia属のゴマガイ類について、貝殻の外部形態、彫刻、軟体および蓋の形態変異を詳細に検討した結果、新たに8新種と2新亜種を見出し、命名記載した(Yamazaki et al., 2015. Zootaxa 4057 (4))。今回発見された新種で特に注目すべきものはHungerfordia spiroperulata Yamazaki and Ueshima 2015である。本種は貝殻形態がHungerfordia属の特徴を示すにもかかわらず、Palaina属に似た蓋を持つ種である。属を識別する最も重要な分類形質である歯舌の特徴はHungerfordiaに合致し、分子系統解析の結果からもHungerfordia属の一員であることが支持された。したがって、蓋の形態だけでは両属を識別することが困難であることが示され、またHungerfordiaとPalainaは他の属にはない特徴を共有することから、近縁であることが示唆された。 ヤップ島から得られた資料についても分類学的検討を行ったところ、ヤップ島のゴマガイ類には少なくとも3種あり、その形態はパラオ諸島、グアム諸島、トラック島いずれの種とも異なる固有種であることが分かった。これらの固有種は蓋の形態が既知属のいずれとも異なる独特な特徴を示すことから固有属となる可能性が示唆された。ヤップ島は地理的距離がパラオ諸島に近く、また島としての歴史も浅いにもかかわらず、陸貝は独自の進化を遂げてきたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はサンプルが集積しているパラオ産ゴマガイ類を中心に検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
ヤップ島での現地調査およびパラオでの調査を実施する。
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Causes of Carryover |
これまでの調査によりサンプルが蓄積したパラオ諸島産ゴマガイ類の研究を中心に行ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度はヤップ島での現地調査を実施し、予算を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)