2014 Fiscal Year Research-status Report
大規模比較ゲノム解析からカシ林の生物間ネットワークの成立・変遷の歴史を復元する
Project/Area Number |
26440214
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青木 京子 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 研究員 (70378537)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 分子植物地理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,照葉樹林の中で比較的耐寒性のあるカシ類の歴史的変遷を追跡することである。植物で使えるDNA多型情報は分子進化速度が遅いため種内変異量が少なく,分布変動を追跡するマーカーとして十分ではなかった。本研究では,近年の遺伝子解析技術の発展によって低コストで使えるようになった次世代シーケンサーも活用し,最近の分布変遷や集団動態の変遷を読み取る。カシ林の優占樹種とそれに密接にかかわって生活している昆虫などについても遺伝解析を行い,遺伝的変異の地理的パターンや遺伝的多様性を種群間で比較・統合し,カシ林の生態系ネットワークの成立過程を解明する。今年度は,カシ類に潜葉する植食性昆虫ツヤコガ類のミトコンドリアDNAを解析し,シイ類に潜葉するツヤコガ類との遺伝的関係を明らかにした。カシ林に生活し, カシ類と種間関係をもつ生物種群において遺伝構造や遺伝的多様性を比較することによって生態系全体の歴史的成立過程を解明できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
葉および植食性昆虫類のサンプル採集・整理状況は概ね順調であり,遺伝子解析も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
収集したサンプリングの解析を進める。次世代シークエンサーによる遺伝子解析によって,カシ類の系統解析および種内多型の地理的分布パターンを調べる。植食性昆虫についても解析を進め,樹木の地理的分布パターンとそれに寄生する植食性昆虫のパターンの共通性を見ることによって,カシ林の分布変遷をより詳しく推定する。
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Causes of Carryover |
解析内容変更のため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次世代シーケンサーによる解析費用に用いる。
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