2015 Fiscal Year Research-status Report
ラビリンチュラ類の網羅的分離法の開発と,分離株に基づく分類体系の再整理
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26440224
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
本多 大輔 甲南大学, 理工学部, 教授 (30322572)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 分類体系 / 系統 / 形態 / 生活史 / メタゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
原生生物ラビリンチュラ類ヤブレツボカビ科の基準属であるThraustochytrium属は,分子系統樹上で,多数の系統に位置しており,系統関係を反映した分類体系が構築できていない。そこで本研究では,Thraustochytrium属の基準種であるT. proliferumの系統的な位置を決定し,その上で形質を総合的に判断して,分類学的な整理を行うことを目的とした。 T. proliferumの再分離を目指して,1000株以上の分離を行い,予備的な観察から選択された100以上の株は,18S rRNA遺伝子配列から9つの系統群に分かれて位置した。これら9株を対象に詳細な観察を行ったが,T. proliferumとして同定される株は得られていない。特に,難培養性の系統群の培養法も開発し,従来よりも多様性のある培養株を得られるようにしたが,結果としては,T. proliferumとして同定される株は得られなかった また,基準産地の紅藻からDNAを抽出し,含まれる18S rRNA遺伝子配列を次世代シーケンサーによって分析し,ラビリンチュラ類の配列として同定されたものを系統解析したところ,11系統群に分かれて位置することを確認した。いずれも,イギスあるいは海水から分離された系統群,またはこれまでに別の場所で分離された系統群であり,これらすべての系統群について,詳細な形態観察を行ったが,その中にT. proliferumとして同定されるものはなかった。 一方で,Thraustochytrium属の中で,2番目に記載された T. globosumが,基準産地の千葉・太海から分離された。この株を詳細に形態観察をしたところ,T. proliferum との形質の違いが明確になったことから,この種を別属として分類学的な整理をすることが適当と判断され,現在,記載論文の作成を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目標としている基準種T. proliferumを分離することはできていないため,「やや遅れている」とした。しかしながら,他のヤブレツボカビ類の詳細な観察から,T. proliferumで記載されている形質の特殊性が浮き彫りになったこと,Thraustochytrium属のうち2番目に記載された種であるT. globosumが分離できたことで,このプロジェクトの本質的な目的であるThraustochytrium属の分類学的な整理につながる結論を得られていること,次世代シーケンサーによるメタゲノム解析などが進んでいることは,全体としてはおおむね順調に進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の課題の一つとして,難培養性の系統群の分離法の開発を行った。これによって,従来よりも多様性のある株を得られるようになった。また,ヤブレツボカビ類はデトリタスなどの分解者として認識されていたが,生きている珪藻を栄養源とするものも見いだすことができた。さらに網羅的に分離をするため,これらの培養法,分離法をさらに検討する。 Thraustochytrium属のうち2番目に記載された種であるT. globosumが分離でき,この種と基準種T. proliferumとの形質の相違性を明確になり,新属を設立する分類学的な整理を提案する準備を進めている。この両者の扱いを基にすることで,他の種についても分類学的な整理をする道筋がつくものと思われるため,詳細な比較検討を進める。
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Causes of Carryover |
前年度にアメリカ・ウッズホールなどで分離した株の観察や系統解析用の18S rRNA遺伝子配列を継続して行っている。現時点までに,T. proliferum として同定される株を認識できていないため,さらに詳細な観察や分析などを行う株の選定を行うことにした。その分,作業が少し遅れている状況となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予備的な観察から株の選択を継続し,選択された株については,さらに詳細な観察や分析などを行う。生活史を通した観察のための培養,経時的な観察,18S rRNA遺伝子配列決定,脂肪酸組成の分析などのために支出することを予定している。
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Research Products
(8 results)