2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26440226
|
Research Institution | Lake Biwa Museum |
Principal Investigator |
桝永 一宏 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 専門学芸員 (50344346)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 生物地理 / 起源 / 分散 / 多様性 / インド洋 |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋性双翅目昆虫が、淡水から海水へ進出した起源地の可能性のあるインド洋に焦点を絞り、本グループの起源地、分散経路、種分化、多様性について解明することが目的である。全球レベルでの海洋性双翅目昆虫の分散と進化について解明する過程で、南米大陸とインド洋周辺が未調査であり、分散経路を推定する上で欠かせない地域であるインド洋を対象とした。今年度は、マダガスカル,マヨット、レユニオン、モーリシャスにおいて調査を行った。これらの地域に固有な種(未記載を含む)を多数採集できた。現在、DNA解析を進めており、イソアシナガバエ族の14属75種についてミトコンドリア遺伝子ND5、CO1、12S、及び核の28Sの部分領域について塩基配列の解析を行った。これらの分子系統解析の結果、海岸に生息するイソアシナガバエ族は単系統群として確認された。イソアシナガバエ族のなかで比較的初期に分化したニュージーランドの固有属Abatetiaについて検討を行ったところ、従来1種Abatetia robusata (Parent, 1933)のみが記録されていたが、7新種いることが判明し、既知種を含め8種がニュージーランドに分布していること明らかにした。さらに、これらのAbatetia属の種について外部形態を詳細に観察したところ、後脚腿節の形状により大きく2グループに分かれることがわかった。分子系統解析の結果からも、本属が大きく2系統に分かれることが示され、外部形態によるグルーピングとも一致した。また、本属の姉妹群はインド洋から太平洋の熱帯地域に広域分布するミナミイソアシナガバエ属Cymatopusとなり、ニュージーランドの干潟に生息するScorpiurus属ではなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、インド洋周辺のマダガスカル,マヨット、レユニオン、モーリシャスにおいて調査を行った。アシナガバエ科のCymatopus属の既知種2種も含め未記載種3種も採集することができた。また、平成28年度に現地調査を予定している国の研究者とも連絡をとり調査手続きを進めている。現時点での研究の進展具合はおおむね順調だと思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度の現地調査は、インド洋に位置するセイシェル、モルディブ、ドバイを予定している。現地調査にかかる旅費が多く使われる予定である。また、調査に必要な採集道具や保存用のエタノール、DNA解析に必要な試薬なども購入する予定である。
|
Causes of Carryover |
(理由) 平成27年度は、実験の回数が予定より少なく試薬の購入頻度が低かったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度はセイシェル、モルディブ、ドバイなどのインド洋周辺の地域での調査を予定している。
|
Research Products
(1 results)