2014 Fiscal Year Research-status Report
集合知がもたらすサギ類群集の時空間分布についての研究
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26440233
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
徳永 幸彦 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (90237074)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | collective philopatry / random forest / habitat selection / long term data / Ardea cinerea / Bayesian / Evidentialist / Fisherian |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、以下の内容の調査研究活動を行った。 <個体数調査>スカイサーファーを用いて、調査地内の全てのコロニーについて、空撮による個体数調査を行った。各コロニーにおいて、コロニーへの出入り頻度を現地調査によることによって、種構成調査を行った(スカイサーファーのオペレータである益子美由希博士に謝金)。また、我々の研究室と同様のコロニー消長の長期データを持つMauro Fasola博士をイタリアから、サギ類コロニー内における分解者としての昆虫の研究を行っている杉浦真治博士を神戸大学から招聘し、個体群生態学会において1つのシンポジウムを開催した。 <GISデータの整備とGIS手法の整備>計算サーバーとしてMacProを1台購入した。JAXA ALOSのデータを利用することによって、2011年のサギ類コロニー分布の要因を明らかにし(Carrasco et al. 2014) 、アオサギがこれらのサギ類のコロニー形成と維持に重要な役割を果たしていることを明らかにした(Mashiko et al. 2014)。また、Landsat画像も使って、1980年代から今日までの土地利用図を再構築した(投稿準備中)。GISデータの新たな解析方法を模索するために、統計の専門家であるMark L. Taper博士とRobert M. Dorazio博士をアメリカから、粕谷英一博士を九州大学から招聘し、個体群生態学会において2つのシンポジウムを開催した。そのうち1つのシンポジウムについては、Population Ecology誌の特集を作成中である。 <軽量ニューラルネットワーク>軽量のニューラルネットワークの代替アルゴリズムであるrandom urn model (RUM)のコア部分を、RとRubyの2つの言語で実装した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
論文発表としては、Random Forestを使った新しいGISの手法を世界に先駆けて発表できた他、アオサギという侵入生物がむしろ既存の生物群集にポジティブな影響を及ぼすという、これも世界的にあまり例のない現象を示す論文を発表できた。8月の国際鳥類学会で、徳永を含む益子博士、Carrasco博士(当時まだ大学院生)の3名はそれぞれ、本科研費に絡む内容でポスター発表を行った。10月にFasola博士を招聘したことにより、日本とイタリアとの比較を行うための共同研究も始まっている。また、Taper博士とDorazio博士を招聘し、日本の生態学における統計の雄であるところの粕谷博士、三中博士、そして山村博士との議論を通じて、統計手法についての認識を高めたことは、多いなる成果である。そして何よりも、GIS技術の開発に絡む過程で、Luis Carrasco博士が誕生したことは、特筆に価する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、スカイサーファーによる個体数調査を継続する傍ら、風に強いバイオカイトによる撮影技術も確立する。Landsat画像を用いた土地利用図の再構築によって、長期のサギ類コロニーの形成要因の解析を進め、RUMを使った行動予測との比較を行う。また、長期にわたるコロニー場所の変遷の過程に対して動物個体の動態軌跡解析を応用することによって、collective philopatryの存在を明らかにする予定である。これらの内容について欧文学術雑誌で発表する他、11月にイタリアで行われるシンポジウムにおいて、Fasola博士との共同研究でもある、イタリアと日本のサギ類コロニーの消長の比較研究について発表する予定である。
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Research Products
(7 results)