2016 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of pollination rewards based on the non-destructive and continuous observation of nectar volume
Project/Area Number |
26440237
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
川窪 伸光 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (60204690)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ツリフネソウ / 花蜜生産 / 非破壊的観察 / 花生態 / 特殊デジタルカメラ |
Outline of Annual Research Achievements |
●ツリフネソウにおいて花蜜の分泌量を,花器を破壊すること無く,特殊カメラを完成させ,ストロボ透過光を利用することで,経時的に正確に測定する方法を確立できた。 ●同時にビデオ記録された,トラマルハナバチの訪花行動には,花への接近,花の評価,着地,吸蜜の一連の過程が認められた。その過程おいて,訪花を放棄するタイミング(訪花放棄)が,3段階(花前でのホバリング時,花弁接触直後,花弁着地直後)であることも判明した。したがって,マルハナバチ訪花行動が,これら3段階の過程を経てツリフネソウの花器内に侵入し,最終的に吸蜜に至っており,全体として4つの行動要素から成り立っている事が判明した。 ●ツリフネソウの花蜜は,開花直前から分泌が始まり,日中にほとんど一定速度で生産されていた。一方,夜間には花蜜は分泌されていなかった。花蜜分泌の速度は,1時間あたり約1.0マイクロリットルであった。トラマルハナバチの訪花行動は,1花あたり,1日に92回から214回(平均134回)確認された。訪花行動で,最終的に吸蜜まで至ったのは,1花における全訪花行動の45%から73%であった。つまり,トラマルハナバチは,花に飛行接近しても,3割から5割は,その接近過程で訪花行動を途中放棄していた。 ●花蜜生産は日中継続的に生産され,トラマルナナバチの訪花で花蜜は吸蜜されて,直後の残存花蜜は約0.8マイクロリットルになる。その時点では,トラマルハナバチは頻繁に訪花途中放棄した。前吸蜜者が去ってから,およそ15分後,ツリフネソウの距内に約1.1マイクロリットルになるころ,訪花を途中放棄せず吸蜜まで至ることが明らかになった。この1花あたり0.2マイクロリットルの花蜜(送粉報酬)が,トラマルハナバチの訪花行動(コスト)と釣り合うのかも知れない。これらの成果は,現在,公表論文として執筆中である。
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