2014 Fiscal Year Research-status Report
市民科学活動との協働による在来・外来オオサンショウウオの環境DNA調査
Project/Area Number |
26440238
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
源 利文 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 特命助教 (50450656)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 環境DNA / オオサンショウウオ / チュウゴクオオサンショウウオ / 科学教育 / 環境教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、在来・外来のオオサンショウウオのDNAを河川水から検出する手法を用い、一般の環境保全団体、中学校・高校等の科学部活動などと連携して、国内の分布域全域にわたって、在来・外来オオサンショウウオの分布調査を行うことを目的とする。 平成26年度には、兵庫・岡山・三重・奈良・大分の5県において8水系の合計194地点(兵庫県:佐用川を中心とする千種川水系43地点・羽束川水系16地点・市川水系40地点・円山川水系31地点、岡山県:高梁川水系23地点・旭川水系5地点、三重県:名張川水系18地点、大分県:駅館川水系18地点)で採水を行った。それぞれから環境DNA抽出を行い、既存のリアルタイムPCR法によるオオサンショウウオおよびチュウゴクオオサンショウウオの環境DNA検出を試みた。また、核DNAをマーカーとした新たな検出系の開発も行った。 環境DNA検出の結果、調査した8水系全てにおいて少なくとも1地点以上でオオサンショウウオのDNAを検出する事ができた。オオサンショウウオDNAガ検出されたのは調査した194地点中44地点であった。一方チュウゴクオオサンショウウオのDNAはいずれの地点からも検出されなかった。調査河川のうち名張川水系はすでにチュウゴクオオサンショウウオの侵入が知られており、今回は非検出であったが継続調査が必要である。新たに開発した核DNAマーカーは3河川でテストした結果、既存のミトコンドリアDNAマーカーよりも検出感度が高い事が明らかになった。 市民団体等の連携に関しては、兵庫県において「佐用川のオオサンショウウオを守る会」および篠山市内の高等学校生物部、大分県の安心院高等学校生物部とともに環境DNA調査を行った。環境DNA調査で陽性反応が出た地点で実際に個体が発見されるなど、協働の効果が現れている。今後も西日本全域における調査を継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は5府県における調査を予定し、実際に5県での調査を実施した。関係団体との調整に時間がかかった府県もあったため、予定の5府県とは異なる県での実施となった箇所もあるが、3年間で行う予定の計画は順調に進展している。 マルチプレックスPCR系の開発については、非常に困難であることが明らかになったため、計画書記載の通り、既存のミトコンドリアを対象としたプライマーを用いた検出を行った。また、検出感度向上のため、新たに核DNAを対象としたプライマーの作成を試み成功した。 各地の市民団体等との協働については予定通り進講している。本年は兵庫県の3団体、大分県の1団体と合同で調査を行った。このほかに、大阪府、広島県、山口県の団体と共同調査に関する打ち合わせを始めており、予定通りの進展である。 これらの事から、おおむね順調に進展していると自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
広域調査に関しては、平成26年度に引き続き広域調査を継続する。平成27年度には広島(2地区)、兵庫(2地区)、大阪、岐阜、愛知、山口で調査を行う予定である。いずれかの調査地区においてチュウゴクオオサンショウウオのDNAが検出された場合には周辺において追加の集中調査を行い、その分布範囲を特定する。 集中調査に関しては、平成27年度には兵庫県の武庫川水系で集中調査を実施する。1年回に4回程度の継続調査と、地点数を40地点程度に増やした高密度調査を実施する。 市民団体との協働に関しては、これまでにすでに協力関係を構築している大分県および兵庫県に加え、大阪府、広島県、山口県の市民団体等との共同調査を実施する。また、他の地区の市民団体等との協議を開始する。
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Causes of Carryover |
マルチプレックス検出系の開発をやめ、核DNAによる検出系の開発を行ったために、検出系の開発費用に若干の余剰金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に発生した次年度使用額については、当初計画ではマルチプレックス化することで見込んでいた平成27年度以降の消耗品費の削減がかなわなくなるため、平成27年度以降の試薬等の消耗品費として使用する予定である。
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Research Products
(16 results)
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[Presentation] Marine fish surveys using environmental DNA2014
Author(s)
Minamoto, T., Masuda, R., Takahashi, K., Maruyama, A., Yamanaka, H., Kasai, A., Kondoh, M.
Organizer
2014 ESA Annual Meeting
Place of Presentation
Sacramento, California, USA
Year and Date
2014-08-10 – 2014-08-15