2014 Fiscal Year Research-status Report
ニホンカモシカの新しいモニタリング手法の開発―糞DNAに基づく個体識別法―
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26440240
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山城 明日香 徳島大学, 環境防災研究センター, 徳島大学特別研究員 (80645565)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | カモシカ / 糞DNA / マイクロサテライト / 個体識別 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、カモシカの糞DNAを用いた個体識別法および個体数推定法の確立を目指す。糞DNAを用いたマイクロサテライトの解析では、PCRの成功率が低いため、DNAの保存状態がよい糞のサンプリングが必要である。そこで本研究では、DNAの保存性が高い糞の指標を決めるために、糞の状態を4つのランク、Aかなり新しい(ヌメリがある)、B比較的新しい(ヌメリはないがテカリがある)、Cやや古い(乾燥しているが分解はしていない)、D古い(分解している)、の4つのカテゴリーに分けた。徳島県つるぎ町でカモシカ127の糞サンプルを採集し、各カテゴリーにおけるPCR成功率を算出した。その結果、PCRの成功率は、A95.0%、B26.1%、C2.9%、D0%であり、ヌメリのある新しい糞が最もPCRの成功率が高く、ヌメリのある糞塊をサンプリングの対象にする必要性を明らかにした。一方、徳島県および高知県で収集した滅失19個体および徳島県つるぎ町でサンプリングした糞21サンプルについて、個体識別するために、対立遺伝子型が多い、PCRの成功率が高い、PIDが低い、波形の判読のしやすい、という条件にあうマーカーの選定を行った。また、雌雄判別では蛍光色素を添加したSE47とSE58プライマーを用いてアメロゲニン遺伝子領域の増幅を行い、糞サンプルについて雌雄判別を行った。解析の結果、23のうち8マイクロサテライトマーカを選定した。また、性判別では21のうち20の糞サンプルについて性判別ができ、かなり高い割合で性を判別することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査地での糞のサンプリング、糞DNAを用いた個体識別、性判別の手法が確立でき、当初の目的に達している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、選定したマイクロサテライトマーカーを用いて徳島県つるぎ町剪宇地区に生息するカモシカの個体識別および生息頭数を推定する。また、調査対象地をカモシカが生息する四国東部に広げ、調査地の設定と糞サンプリングを行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、研究成果が学会発表の水準にまで達しなかったため、学会への出張を行わなかったことがあげられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の使用計画としては学会への参加のための旅費に使用することを計画している。
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