2015 Fiscal Year Research-status Report
ニホンカモシカの新しいモニタリング手法の開発―糞DNAに基づく個体識別法―
Project/Area Number |
26440240
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山城 明日香 徳島大学, 大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 徳島大学特別研究員 (80645565)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | カモシカ / 個体識別 / 糞DNA / マイクロサテライト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、カモシカの糞DNAを用いた個体数推定法の確立に向けて個体識別法の確立を目指す。該当年度は、カモシカの組織サンプルの解析により選定された11のマイクロサテライトマーカと性決定マーカーを用いて、徳島県つるぎ町で収集したカモシカの糞塊のDNA解析を行なった。収集した194糞塊のうち、PCRの成功率が高かったランクA(ヌメリのある糞塊)の15サンプル、ランクB(ヌメリはないがテカリのある糞塊)の12サンプル、計27サンプルを対象に解析を行なった。Allelic DropoutはランクAでは0.000から0.167、ランクBでは0.000から0.323であり、有為差は見られなかった。また、False AlleleはランクAとBは0.000であった。ランクAの15サンプルのうち全サンプル、またランクBの12のうち9サンプル、計24サンプルについてマイクロサテライト遺伝子座を決定することができた。解析の結果、24サンプルから14個体が識別でき(10サンプルは同一個体であった)、7個体は雄、7個体は雌であることが判明した。COLONYにより推定した血縁関係では、full-sibは6個体を検出することできたがhalf-sibを見つけることができなかった。また、該当年度は四国東部周辺のカモシカの糞塊の収集を行なったが、カモシカの個体数減少や分布域の変化により多くの糞サンプルを収集することができなかった。今後も継続して四国東部において糞サンプルを収集し、DNA解析を行なう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
個体識別法の確立はおおむね終わっており順調であるが、広範囲でのカモシカの糞の収集が遅れている。その理由として、カモシカの分布域が縮小しており糞塊を収集が難しいこと、通常調査員では新糞を識別することは難しいこと、新糞を収集するためには何度も調査地に訪れないといけないこと、などがあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
申請書では、平成26年度に個体識別法の確立、平成27・28年度は個体数推定法の確立を予定していたが、個体識別法の確立に平成27年度までかかったこと、広域での糞塊の収集が終えていないことより個体数推定法の確立は厳しいことが予想される。平成28年度は、通常調査員の調査の導入策の再検討と平成27年度に行なう予定であったカモシカの分集団の構造の解析を行なう。また、同所的に生息するニホンジカはカモシカの糞の誤判定の問題を引き起こすだけでなく、2種の個体群動態は互いに影響を及ぼしあっていることが予想されるため、ニホンジカについてもカモシカと同様に糞DNAに基づく個体識別法を確立する必要がある。平成28年度はニホンジカの個体識別法の確立を追加する。
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Causes of Carryover |
試薬が安く入ったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬として利用する
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