2016 Fiscal Year Annual Research Report
Individual identification of Japanese serow based on the fecal DNA samples
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26440240
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山城 明日香 徳島大学, 大学院理工学研究部, 特別研究員(RPD) (80645565)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | カモシカ / ニホンジカ / 糞DNA / マイクロサテライト / 個体識別法 |
Outline of Annual Research Achievements |
偶蹄類の密度推定には、一定面積に出現した糞塊(糞粒)数を数える「糞塊法(糞粒法)」が用いられているが、2種以上の偶蹄類が同所的に生息する場合、糞塊の誤同定により、密度推定に過大・過小評価を引き起こすことが知られている。日本には、カモシカとニホンジカの2種の偶蹄類が生息しており、2種が同所的に生息する地域では、ニホンジカの糞塊の区別が難しく、精度の低さがかねてより指摘されてきた。これまで、申請者は、糞塊の誤同定の問題を解決するために、糞DNAに着目し、PCR-RFLPs法を用いた2種の種判定法を確立させてきたが、糞塊法や糞DNAに基づく種判定法のみでは、生息密度と生息頭数を推定する以上のデータを得ることができない。そのため、本研究では、より精度の高いマイクロサテライトを用いた個体識別法の確立を目指した。研究の方法として、まずカモシカとニホンジカの組織サンプルを用いて19のマイクロサテライトのスクリーニングを行ない、カモシカでは14、ニホンジカでは10のマイクロサテライトを選定した。次に、カモシカとニホンジカが同所的に生息する徳島県つるぎ町において、広範囲での糞サンプルの収集を行いDNAを抽出した。194の糞DNAについてマイクロサテライトを用いた解析の結果、カモシカでは35サンプル、ニホンジカでは30サンプルにおいて遺伝子型を決定することができた。解析の結果、カモシカでは14個体(雄7個体、雌7個体)、ニホンジカでは19個体(雄11個体、雌8個体)を特定でき、本研究で開発した個体識別法は野外でも応用できることを実証した。
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