2015 Fiscal Year Research-status Report
人間社会系と自然生態系の相互作用における空間スケールパラメータの評価
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26440252
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
山村 則男 同志社大学, 文化情報学部, 教授 (70124815)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 社会生態系 / 遊牧 / 野生復帰 / 害獣対策 / 回遊 |
Outline of Annual Research Achievements |
人間社会系と自然生態系の相互作用に関する総説を準備するとともに、以下の4つの具体的モデルに関して分析を行った。 1. モンゴルの遊牧において、環境に留意しながら経済的利益を増す方策を検討した。ヒツジは草本を好みヤギは灌木を好むという条件を導入して、最適なヒツジとヤギの売却率を求めた。植物2種と動物2種のダイナミクスは間接効果を介して複雑な変動を示すので、間接効果を考慮した管理計画が必要であることが分かった。 2. 佐渡島におけるトキの野生復帰プログラムに関して、100年後の個体群存続可能性を分析した。現在の繁殖成功率と生存率をもう少し改善すれば、決定論的モデルにおいて放鳥なしでも存続可能となるところまで来ている。しかし、確率モデルでは相乗平均の効果や性比の変動による減少傾向がみられ、パラメータのかなりの改善が要求されることが分かった。 3. 里山の管理放棄や狩猟の減少によって、有害野生動物(シカ、イノシシ、アライグマ、サルなど)による農業被害が増大している。この対策には、数を減らす捕獲と耕作地を守る防御がなされているが、耕作被害コストと対策コストの和を最小にする捕獲と防御の適切なバランスを求める数理モデルを構築した。 4. 日本海を回遊するブリについて、どの場所でどのくらいの漁獲を行えば資源の安定供給と高い経済的利益が達成できるのかを検討した。先取りを増やせば漁獲量は増すが、冬季の価格が高いために後取りを増やすことで漁獲生産額が増すことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
具体的モデルの数が増えたので、一般的方法論の構築に貢献すると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた具体例を方法論として類別化することによって、人間社会系と自然生態系の相互作用を分析する手段としての数理モデルを一般化する。
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Causes of Carryover |
日程調整がうまくいかなかったため、研究連絡としての旅費の一部に繰り越しが出た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度中に研究連絡を行う旅費として使用する。
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Research Products
(1 results)