2016 Fiscal Year Annual Research Report
Map-based cloning and function analysis of a wheat vernalization gene Vrn-D4
Project/Area Number |
26450005
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西田 英隆 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (30379820)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | コムギ / 春播性遺伝子 / Vrn-D4 / クローニング / Vrn-A1 / 起源 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の研究では、Vrn-D4が5DS染色体の0.09cM領域に座乗し、Vrn-1同祖遺伝子と相互作用することが明らかになった。翌年度は、Vrn-1同祖遺伝子の発現解析、5DS染色体の塩基配列解析等の結果に基づき、Vrn-D4の春播性対立遺伝子(春播性Vrn-D4)は、5AL染色体のVrn-A1を含む領域が重複し、5DS染色体に挿入されて生じたことが明らかになった。春播性Vrn-D4のRIP-3配列(転写抑制に関わるcis配列)はChinese Springの秋播性vrn-A1と同じGCT型であり、これがコピー元と考えられた。さらに、春播性Vrn-D4のエキソン4にはアミノ酸置換を伴うSNPが存在し、遺伝子機能に重要であると考えられた。一方、秋播性vrn-D4は5AL染色体由来の重複をもたなかった。以上により、Vrn-D4の原因遺伝子の特定、他の遺伝子との相互作用の解明という主要な目的は達成された。 春播性Vrn-D4はインド周辺地域の在来品種が保有することが知られている。本年度は春播性Vrn-D4の起源を明らかにすべく、起源地(イラン)からインド周辺地域に至る地域(6ヶ国)の在来品種194系統を供試し、5DS染色体における挿入の有無、RIP-3配列およびエキソン4におけるSNPsを解析した。 その結果、GCT型RIP-3配列をもつ系統は起源地(イランのカスピ海西南地域)以東に存在し、GCT型の秋播性vrn-A1の重複によって春播性Vrn-D4が生じたとする先の研究結果と矛盾しなかった。また、5DS染色体における挿入はイランで起こり、アフガニスタン周辺で挿入配列の変異とエキソン4のSNPが生じたことが明らかになった。以上のことから、起源地から東に伝播する過程での変異の蓄積によりVrn-D4が成立し、インド周辺に伝播したと考えられた。
|