2015 Fiscal Year Research-status Report
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26450010
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
三柴 啓一郎 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (70390888)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 小胞体ストレス応答 / 遺伝子導入 / 種子 / シロイヌナズナ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、シロイヌナズナire1変異体(ire1a/ire1b二重変異体)種子が野生型種子と比較して大型化した原因を解明し、IRE1の種子発達過程における機能を明らかにすることを目的としている。 これまでに、シロイヌナズナire1変異体、bzip60変異体、及び野生型において、異なる発達ステージの莢(長角果)から種子(受精後の胚珠)を摘出してRNAを単離し、cDNAを合成して、リアルタイムPCRにより種子発達過程で発現量が増加する2Sアルブミンなどの種子貯蔵タンパク質遺伝子や、オレオシンなどのオイルボディ形成に関与する遺伝子のmRNA発現量の解析を行っている。さらに、ire1変異体と野生型の種子より超薄切片を作製して透過型電子顕微鏡(TEM)で細胞内の微細構造を観察した結果、野生型と比較してire1変異体では、細胞中のプロテインボディが占める割合が増加していることを見出している。 さらに、ire1変異体種子のタンパク質量が、bzip60変異体や野生型種子よりも明らかに増加していることを確認した。またIRE1の活性化を確認するための実験材料として、ire1変異体にFLAGタグ配列を付加したIRE1遺伝子の導入した組換え体を作出し、導入したIRE1遺伝子が機能することを確認した。具体的には、タンパク質の糖鎖修飾阻害剤であるツニカマイシンの処理によりBiP3遺伝子の発現誘導とPR-4遺伝子のRIDDによる分解が、導入遺伝子により相補されたことを観察している。今後はこの組換え体を用いて、種子発達過程でIRE1の活性化が起こるかについて調査する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究により、ire1変異体種子の大型化が、種子細胞中のプロテインボディの肥大化によって細胞容積が増大したことによる可能性が示唆され、種子貯蔵タンパク質のmRNA発現が、RIDDにより制御させている可能性が見出された。このことを検証するために、本年度ではタグ配列を付加したIRE1遺伝子をire1変異体に導入した組換え体を作出した。これら組換え体では、実際に導入した外来遺伝子が機能することを確認している。今後は作出した組換え体を用いて種子発達過程でのIRE1の機能解析を行うことで、本研究の目的である「IRE1の欠損による種子大型化の原因解明」に向けた基礎的知見が得られることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、IRE1の欠損と種子組織の細胞におけるプロテインボディの肥大との因果関係を明らかにするために、種子発達過程でIRE1の活性化が起きていることを証明する必要があるが、本年度にFLAGタグを付加したIRE1を導入したire1変異体を作出することが出来たので、この組換え体を用いてIRE1の活性化が起こるかについて解析することが可能になった。 また、種子の発達過程で生じるトリグリセリドによってIRE1が活性化する、という仮説を検証する必要があるが、本年度の研究でセンサードメインを欠失させた変異型IRE1をire1変異体に導入したので、この組換え体でも種子の大型化が相補され、トリグリセリドによる活性化が生じるかについて調査することにより検証していく予定である。 これらの解析結果より、IRE1の活性化が種子貯蔵タンパク質の蓄積を制御している可能性について検討したいと考えている。
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Causes of Carryover |
実験の都合で、少額が繰り越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に速やかに使用する。
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Research Products
(4 results)