2016 Fiscal Year Research-status Report
イネ活性型転移因子mPingの活性を制御する遺伝子の単離
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26450012
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Research Institution | Kibi International University |
Principal Investigator |
谷坂 隆俊 吉備国際大学, 地域創成農学部, 教授 (80026591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
築山 拓司 近畿大学, 農学部, 准教授 (00423004)
吉川 貴徳 吉備国際大学, 地域創成農学部, 講師 (00721606)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | イネ / 転移因子 / mPing / 転移機構 / QTL |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、イネにおける活性型転移因子mPing(全長430bp)を用いた高効率なトランスポゾンタギング系を開発するために、mPingの活性を制御する遺伝子を単離しようとするものである。 申請者らは、平成27年度に、イネ品種「銀坊主」×同「日本晴」間の交雑後代F2集団 (GN-F2)を用いたQTL解析により、これまででもっとも寄与率が高く、mPing転移に及ぼす効果が最も大きいqTmP5 (QTL of transposition of mPing-5)を同定した。本年度は、GN-F2のうち、mPingの新規挿入数が上位の4系統(GN19、GN23、GN41、GN80)および新規挿入数が0の4系統(GN6、GN9、GN57、GN65)それぞれ由来する8系統(F3)を供試し、トランスポゾンディスプレイにより各系統におけるmPingの新規挿入数を調査した。その結果、F2で新規挿入数が多かった4系統(GN19、GN23、GN41、GN80)の新規挿入数は、F2で新規挿入数が0であった4系統(GN6、GN9、GN57、GN65)のそれと比較して有意に多かったが、調査したすべてのF3系統(計8系統)で新規挿入が検出された。そこで、qTmP5座を含むすべてのqTmP座に関して遺伝子型を調査したところ、mPingの転移がみられたF3個体はいずれもいずれかのqTmP座に有効型アレル(転移を誘導する)を有していることが明らかになった。すなわち、qTmP5座の有効型アレルがもっとも大きな効果がもつものの、それ以外のqTmP座の有効型アレルもmPing転移を促すことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者らは、これまでに、イネ品種「銀坊主」×同「日本晴」間の交雑後代F9集団 (GN-F9)およびF2集団 (GN-F2)を用いて、mPing転移活性に関する8つのQTL (qTmP1~8)を同定している。平成28年度は、これらのQTL(qTmP座)のいずれかに有効型アレルをもつとmPingの転移が誘導されることを明らかにするとともに、すべてのqTmP座に非有効型アレルをもつとmPingの転移は生じない可能性のあることを示すことができた。これらの結果は、各qTmPのファインマッピングによって、mPing転移活性の制御機構の全体像を明らかにすることができることを示している。したがって、本研究の目的は十分達成できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に、mPingの転移制御に関わるQTLを計8座(qTmP1~8)検出し、その中でqTmP5がもっとも大きな効果(もっとも大きな寄与率)をもつことを見出した。平成28年度は、この結果を受けて、F2個体の中からmPingの新規挿入数が多かった上位4つの系統および新規挿入数が0であった4系統、計8系統を選び、それぞれに由来する8つのF3系統を供試し、トランスポゾンディスプレイによって各系統におけるmPingの新規挿入数を調査するとともに、qTmP5座を含むすべてのqTmP座に関して遺伝子型を調査したところ、転移がみられたF3個体ではいずれもいずれかのqTmP座に有効型アレル(転移を誘導する)を有していることが明らかになり、各qTmPのファインマッピングによって、mPing転移活性の制御機構の全体像を明らかにすることができることが示された。そこで、最終年度の平成29年度は、これまでに見出された8つのQTLのうち、qTmP5に焦点を絞り、そのファインマッピングを行う。具体的には、これまでの研究に供試してきたGN-F2の中からqTmP5座がヘテロ型であり、それ以外のqTmP座が非有効型アレルホモ接合である個体を選抜し、その後代に出現する組換え個体群(GN-F3)を用いて候補領域を絞り込む。qTmP5が銀坊主型ホモのF3個体(有効型F3バルク)、および日本晴型ホモのF3個体(非有効型F3バルク)からRNAを抽出し、Agilent社のSureSelectを用いてエクソン領域を濃縮する。濃縮したRNAを等量混合し、次世代シーケンサーに供試する。有効型F3バルクで共通の変異を同定することで、原因遺伝子を特定する。
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