2014 Fiscal Year Research-status Report
ダイズの総合的耐湿性と組織細胞水透過性との関係性に関する研究
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26450015
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
実山 豊 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (90322841)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ストレス応答 / 湿害 / 水チャネル / アクアポリン / ダイズ |
Outline of Annual Research Achievements |
市販(もしくは他研究機関から譲渡可能な)既存RILの親品種(6組み合わせ、12親品種)を用いて、耐湿性(根域低酸素耐性および種子冠水耐性)のフェノタイピングを行い、既に調査済みの耐湿性が特徴的なダイズ12品種(エンレイ・タチナガハ、ハヤヒカリ・peking・スズマル、ナカセンナリ・トヨムスメ、植系32号・コガネジロ・トヨホマレ、白鶴の子・トヨハルカ)の耐湿性と比較した結果、根域低酸素耐性において1組み合わせ(AGS292 x K3)、種子冠水耐性についても1組み合わせ(TK780 x B01167)の2つの興味深い親品種を見出した。これらの親品種については、親同士に十分有意差のある耐性が認められたので、ビニルハウス内で種子増殖を行い、加えてRILについても入手した。
根域低酸素耐性が特徴的なダイズ品種を用いて、根通導コンダクティビティと耐性との関係性を調べ、更に各種アクアポリンの抗体を入手し、根からのタンパク質抽出液を用いて、SDS-PAGE、ついでウェスタンブロッティングによるタンパク質解析を行った結果、根域低酸素耐性と通導コンダクティビティの間に密接な関連性が示され、また、32.4kDaのPIP1様のアクアポリンが、ダイズ根の通導コンダクティビティに影響を及ぼしている可能性が示唆された(本内容は論文として投稿中)。TIP様アクアポリンに関しては根抽出タンパク質の中に検出したものの、ジャンクである可能性も高く、公表は差し控えた。
種皮からのタンパク抽出については未だ試行していないが、上記の根からの抽出方法を次年度に適用したいと考えている。更に、アクアポリン局在の確認のための免疫電顕手法を確立するため、前段となる超薄切片法およびフリーズレプリカ法を試行した。次のステップとして、免疫抗体処理の準備をしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種皮からのタンパク抽出試験は遅延しているものの、平成27年度以降に予定しているRILのフェノタイピングの準備がおおよそ整っており、各種免疫電顕に必要な材料及び前段までの手法についても確立できている。
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Strategy for Future Research Activity |
ターゲットとしていた「耐湿性に際のある親品種」が平成26年度に見いだされたので、交雑およびRIL育成の必要が不要となり、既存RILのフェノタイピングと各種電顕技法の確立に専心できるものと思われる。電顕技法の確立に関しては、平成26年度の実施のウェスタンブロッティングでの知見を元に、抗アクアポリン抗体の免疫反応が検出された組織に限定し免疫電顕法を適用し、更に、組織細胞内のアクアポリン局在を詳細に解析する。 更に、SDS-FRL法を実施する。上記の免疫電顕の結果を元に、抗アクアポリン抗体の免疫反応が検出された細胞に限定し試料をトリミング後に急速凍結固定を行い、フリーズフラクチャーレプリカを作製し、レプリカ上の抗アクアポリン抗体の免疫反応を検出する。これにより、特定細胞の生体膜上におけるアクアポリンの動向を精査する。 また、種皮コンダクティビティと種皮アクアポリンとの関連性を調べるために、種皮から抽出したタンパク質によるSDS-PAGE、ウェスタンブロッティングを試行する。
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Causes of Carryover |
タンパク質分析の一部が遅延し、使用する物品及び試薬の今年度中の購入が無かったこと、並びに免疫電顕手法にかかる試薬等を次年度購入としたことにより、全体の約25%弱の未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本来平成26年度のうちに進めるべき内容を、平成27年度に遂行するため、平成27年度内に必要な試薬・物品等を準備し推進方策内容に従い実験を進める予定である。
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