2014 Fiscal Year Research-status Report
マメ科緑肥すき込みと出穂後追肥の最適化による環境負荷軽減型ハトムギ栽培体系の構築
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26450023
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
杉本 秀樹 愛媛大学, 農学部, 教授 (40112255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 卓哉 愛媛大学, 農学部, 准教授 (10363326)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ハトムギ / ヘアリーベッチ / 肥培管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はハトムギ栽培における施肥体系の検討を基肥と出穂後の追肥に分けて行い、基肥は前作となるマメ科緑肥作物の種類、播種時期およびすき込み時期について、また、出穂後の追肥は適正な追肥時期とその量を明らかにすることを試み、得られた結果より最適な緑肥作物種の選定,出穂後の追肥窒素の吸収特性,各器官への分配特性,穀実への光合成産物の集積および収量を関連させて解析し,環境負荷軽減型ハトムギ高位生産性施肥管理技術の確立を目指すことを目的としている。 今年度は、マメ科緑肥作物の一つで生育が旺盛であるヘアリーベッチを用いたすき込み量と時期の検討、および出穂後の追肥時期について検討した。まず、ヘアリーベッチのすき込み量と時期検討では、ヘアリーベッチを前年11月下旬に播種し、ハトムギを播種する5月下旬の30日前と7日前に刈り取り、10Lポットに100g、200gおよび400gすき込んだ。これらすき込み時期2条件およびすき込み量3条件を合わせた6処理区に加え、慣行栽培に準じた化学肥料区および無施用区を設けた。成熟期の乾物重および穀実重は、すき込む時期が遅い場合(7日前)で高く、またすき込み量が多い場合に高くなり、30日前-400gすき込み区で最も高くなり、化学肥料区の75%程度であった。すき込み量が100gの場合では、すき込み時期に関わらず、穀実重が化学肥料区の30%にとどまった。出穂後の追肥時期の検討は、水田転換畑で慣行栽培に準じて栽培し、追肥を出穂開始8日目、18日目および28日目に行う条件を設けた。出穂開始18日目に追肥した場合に穀実重は300/10aとなり最も高い値を示した。18日目追肥の場合、他の条件よりも高い成熟粒歩合が高い穀実重を得られた原因であると推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の試験は概ね遂行できたものと考える。マメ科緑肥すき込み試験では、ヘアリーベッチのすき込み時期とすき込み量に関する適した条件を見出すことができた。しかし、試験はポット試験であった。次年度以降に圃場試験を行い試験結果の有効性について検証したい。また、緑肥すき込みの効果について、ハトムギ播種後の緑肥有機物の分解程度やハトムギが吸収した窒素量に関する分析を行えていないために、緑肥由来窒素の吸収に関する詳細な解析をできていない。この点についても、次年度に解析したい。出穂期以降の追肥時期の検討については、当初の計画を達成できたと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
マメ科緑肥すき込み試験では、まず、圃場試験を行う予定である。その際、すき込み効果について追肥の効果と組み合わせて行いたい。慣行栽培では2回の追肥(分げつ期、出穂期以降)を行うが、すき込みの効果をその量とヘアリーベッチの分解程度との関係から、分げつ期の追肥を省くことができれば、管理の省力化と追肥で投入する化学肥料の節減に寄与できるものと期待できる。また、すき込み効果をより詳細に検討するために、分げつ期、出穂開始期および出穂開始30日目のハトムギを採取し、乾物重および吸収窒素量を分析することで、化学肥料区および無施用区と比較しながら、生育時期ごとのすき込み効果について明らかにする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が3,690円生じた。本年度は、根の画像計測システム、供試材料の栽培に関連する資材、供試材料の栽培管理に対する謝金および旅費等に使用した。今年度の実験材料の栽培および遂行すべき分析を終えた時点で前述した額が余ったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は請求額900000円に加えて、次年度使用額3690円を合わせた額で研究を遂行したい。使用内訳は、実験材料の栽培、栽培に必要な農業資材、分析試薬、栽培管理に対する謝金および旅費として使用したい。とくに、本年度生じた余剰額3690円は、栽培に必要な資材として肥料の購入に充てたい。
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