2014 Fiscal Year Research-status Report
ライグラスにおけるセルロース合成変異遺伝子座の同定と関連遺伝子群の動態解析
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26450026
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
高橋 亘 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所飼料作物研究領域, 主任研究員 (70455319)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | イネ科牧草 / カマイラズ / 消化性 / 植物二次細胞壁 / セルロース合成変異 / バイオマス / ライグラス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はイネ科牧草イタリアンライグラスにおいて、第4連鎖群に座乗すると思われるカマイラズ形質(セルロース合成変異)遺伝子座周辺の遺伝地図構築を試みた。
すなわち、正常系統と変異系統のF1を変異系統に戻し交配して得たBC1F1集団の親間における多型の有無を、ライグラスの第4連鎖群を構成することが報告されている65個のSSRマーカー(Theor Appl Genet 113: 270-279)により確認した。これらのうち、増幅が良好かつ集団親間で明瞭な多型が認められた24個のSSRマーカーについて集団の個体別解析を行い、得られた多型データを解析ソフトウェアJoinMap4により解析した。また、カマイラズ形質は完全に質的であることから、表現型の情報もバイナリーデータとして同解析ソフトウェアに入力し、マーカーとの遺伝的連鎖関係を解析した。
連鎖解析の結果、3つの遺伝地図を構築することができた。各遺伝地図の遺伝距離は81.3cM(9個)、36.5cM(2個)、5.2cM(2個)であった(括弧内は遺伝地図を構成するSSRマーカーの数)。これら遺伝地図のうち、遺伝距離81.3cMの遺伝地図上にカマイラズ形質遺伝子座が座乗することを確認した。現在、ライグラス第4連鎖群とシンテニーの関係にあるイネ第3染色体上の遺伝子に由来するDNAマーカー(Grassl Sci 60: 142-149、 Mol Breed 30: 1-8)による多型解析を進めているところであるが、一部のマーカーについて連鎖解析を実施した結果、複数のマーカーを上記遺伝地図上に位置付けることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カマイラズ形質遺伝子座が座乗するライグラス第4連鎖群の遺伝地図の構築に成功し、また、ライグラス第4連鎖群とシンテニーの関係にあるイネ第3染色体上のDNAマーカーの利用が、今回構築した遺伝地図の高密度化に有効であるということを示すデータを得ていることから、本年度の研究は順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
イネ第3染色体上のDNAマーカーの多型解析および連鎖解析をさらに進め、構築した遺伝地図の高密度化を図る。また、モデル植物等で明らかになっているセルロース合成系やリグニン合成系に関与する各遺伝子群あるいは2次細胞壁合成系のマスター遺伝子とカマイラズ形質遺伝子座との遺伝学的な関係を調査する。
具体的には、公開データベースGRAMENE(http://www.gramene.org/)等を活用して遺伝子配列の検索を行い、これら遺伝子に対するPCR プライマーを設計し、連鎖解析によりカマイラズ形質遺伝子座との遺伝学的関係を確認する。カマイラズ形質遺伝子座と遺伝的に連鎖したものを中心に定量PCR による発現解析を行う。定量PCR による解析は正常系統とカマイラズ系統を比較しながら行い、発現量に差の認められる遺伝子をスクリーニングしてカマイラズ形質の原因となっている候補遺伝子を推定する。
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Research Products
(1 results)