2014 Fiscal Year Research-status Report
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26450032
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
中塚 貴司 静岡大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (60435576)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 花模様 / アントシアニン / シンビジウム |
Outline of Annual Research Achievements |
シンビジウムの花模様は、アントシアニンの蓄積パターンにより形成されている。シンビジウム品種ミスティーク(濃いピンク花色)の唇弁からRNAを抽出し、次世代シークエンサーMiSeqを用いて59,000コンティグを取得した。BLAST検索により、アントシアニン生合成酵素の候補遺伝子を抽出し、完全長cDNAをRACE法で獲得した。カルコン合成酵素(CHS)やカルコン異性化酵素(CHI)遺伝子などは、複数アレル存在することが明らかになった。 花器官発達段階において、花被片はステージが進むにつれてアントシアニンの蓄積が増加するのに対して、唇弁は初期ステージからアントシアニンの蓄積が行われていた。フラボノールの蓄積は、どちらの花器官も初期ステージで最大であった。ジヒドロフラボノール4-還元酵素(DFR)とアントシアニジン合成酵素(ANS)遺伝子は、アントシアニンの蓄積様式と相関のある遺伝子発現様式を示した。このことから、これらの遺伝子発現がアントシアニン蓄積様式を制御していると考えられた。 突然変異で出現した唇弁非着色変異体と野生型の唇弁を用いて、次世代シークエンスよる網羅的発現差解析を実施した。野生型で特異的に発現している遺伝子として、69個の遺伝子が含まれていた。一方、変異体で発現が増加する遺伝子は、19個存在した。今後は、これらの候補遺伝子について絞り込みを行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に述べられた通りに、唇弁非着色変異体と野生型の間の次世代シークエンスを用いた網羅的発現差解析を実施し、候補遺伝子の選定まで完了した。また、唇弁の着色に関連する全てのアントシアニン生合成遺伝子の単離を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
非着色唇弁と着色唇弁間のRNA-seqによる網羅的発現差解析を行った結果、69個の遺伝子の発現が変異体で有意に減少していた。これらの候補遺伝子について、Real Time PCR法で発現差があるか確認を行うことで、さらに候補を絞る。絞られた候補遺伝子は、タバコやシロイヌナズナを用いて形質転換による異種発現などの手法で機能解析を行う。
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Causes of Carryover |
研究室・居室の引越しに伴い1ヶ月間研究を停止したため、次年度使用額が生じた。しかし、研究の停滞は生じず、計画通りに進んでいる。また、次世代シークエンスによるRNA-seq解析が、計上した予算より低価格で実施できたことも要因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次世代シークエンスにおける発現差解析を行える予算が繰り越せたため、計画ではうまくいかない場合に予定していたシンビジウム以外の模様を持つ花においても発現差解析を行う予定である。
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