2015 Fiscal Year Research-status Report
温暖化後も栽培可能な少低温要求性ニホンナシの育種と休眠主動遺伝子の同定
Project/Area Number |
26450034
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
田村 文男 鳥取大学, 農学部, 教授 (50217197)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ナシ / 育種 / 温暖化 / 適応 / 自発休眠 / 低温要求量 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度に引き続き、ニホンナシ系統TH3と台湾ナシ横山、TH3×横山のF1系統No.72およびNo.72の自殖後代のF2系統群31樹の休眠の導入、打破期を評価するとともに、生育ならびに形態的特性を調査した。26、27年度を通じて横山の低温要求量著しく少なく、TH3は多いことが確認された。また、F1系統No.72は少低温要求性で、そのF2系統群内には低温要求性の広い分布がみられた。従って低温要求性の決定にはQTLが関与していることがあらためて示唆された。 TH3、横山、F1系統No.72、少あるいは多低温要求性のF2系統群を用い、RAD-seqを行い、横山とTH3において多型がみられ、かつF1系統No.72がホモで保有しない多型を選抜した。選抜した多型においてF2系統群内でSNP-index=0.8以上の値を示す絞り込みを行った結果、120箇所の多型となった。これらの多型の塩基配列の相同性検索を行ったところ、非生物的ストレス応答性を示すNAC-domain proteinや植物ホルモンの受容体であるF-box proteinなどと相同性がみられた。以上の結果から、少低温要求性および多低温要求性においては低温などに対するストレス応答性が異なるため、その後の植物ホルモン受容体の活性化の違いが現れると示唆された。また、これら多型の中にはSNP-index=1.0を示す箇所も存在し、これらは少低温要求性および多低温要求性にそれぞれ固有の多型を示していたため、低温要求性に関与する選抜マーカーとしての利用が期待された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26〜28年度実施予定の全個体を対象にした自発休眠の深さの調査が27年度末で完了し、遺伝子の発現解析のため無休眠性と休眠性で多低温要求性F2個体の選抜を終了するとともに、QTLが関与すること明らかにした。 27、28年度に実施予定の休眠前、休眠中および休眠打破後のサンプルの網羅的遺伝子発現解析を27年度に行い、発現解析を行い、休眠に関与する遺伝子発現を総合的に考察できた。 また、29年度完成予定の休眠導入並びに低温要求量のマーカーについては、候補を12程度にしぼることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究は計画よりやや早く進展しているので、特に進行している現地試作と遺伝子発現漢籍については予定より一年分多いデータの蓄積を行い、精度向上に努める。また、マーカーについてもやや早めに選抜できるものと思われ、計画より多くの個体についての実証を行う。
|
Causes of Carryover |
予定していた試薬の入荷が間に合わなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用額については、27年度に予定していたものと同じ試薬を購入する。
|