2016 Fiscal Year Research-status Report
温暖化後も栽培可能な少低温要求性ニホンナシの育種と休眠主動遺伝子の同定
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26450034
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
田村 文男 鳥取大学, 農学部, 教授 (50217197)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 温暖化 / 休眠打破 / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度に引き続き、F2系統群の自発休眠特性を調査した.その結果,F2系統群において幅広い分布がみられたことから低温要求性の決定にはQTLが関与していることが明らかであった.また,F2系統群内には横山と同等と考えられる少低温要求性系統が存在し,横山と同じ表現型を示すと思われる個体が確認された. これらの少低温要求性系統についての生育特性についての調査を行うことで,少低温要求性と関連のある生育特性を明らかにすることで低温要求性に関与する遺伝子の探索を試みたが,低温要求性と関連の認められる生育特性はみられなかった. RAD-seqにより行った.その結果,356箇所の多型において少低温要求性および多低温要求性の間で変異がみられた.それらの変異箇所についてblastによる相同性検索を行ったところ,NAC-domain proteinやALG-like proteinなど低温に反応する34箇所の既存の塩基配列との相同性がみられた. ‘豊水’由来の89種類のSSRマーカーから横山とTH3間で増幅断片長の異なる12種類のマーカーを選抜したが,F2系統群における低温要求性に関与する領域の探索には至らなかった.今後はリンゴの第9染色体上に存在するSSRマーカーを用いて遺伝領域の探索を試みる必要がある. F1系統No.74を花粉親とし,‘秋栄’との交雑を行った.その後代を供試して自発休眠の調査を行ったところ,系統No.3,17,37,39,42,43はCU.800の時点で既に自発休眠を打破しており,少低温要求性品種育成の材料としての活用が期待された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28度までにマーカー開発につながる遺伝子の特定を行う予定であったが、候補遺伝子を30程度に絞り込む事が出来た.この成果を元に最終年にはマーカーを選抜する予定である.一方、SSRマーカーについては明確に低温要求量と関連のあるものが見いだせなかったため、リンゴで報告のある第9染色体上の遺伝子にターゲットを絞って行う必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
28年度までの成果をもとにして、次世代シーケンサーによって極めて要求量の少ないものと多いものの代表例を比較し変異部位の候補を絞り、再度プライマー構築を行い、29年度中に休眠導入並びに低温要求量のマーカーを決定する。 さらに,28年度に実験材料を収集・保存し、29年度にタンパク質の2次元電気泳動による分離と特異的なタンパク質をTOFによって分析し、遺伝子発現情報等と総合して自発休眠機構について考察する。
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Causes of Carryover |
予定していた試薬の購入が間に合わなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度に同じ試薬を購入して研究に使用する.
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