2016 Fiscal Year Research-status Report
低温要求量の少ないモモの生理生態的特性解明と省エネ促成栽培への活用
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26450035
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
別府 賢治 香川大学, 農学部, 教授 (30281174)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 果樹 / モモ / 低温要求量 / 少低温要求性品種 / 温度 / ハウス栽培 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年までは本研究室で最初に育成した少低温要求性モモ白肉品種’KU-PP1’について調査してきたが、本年は、2番目に育成した少低温要求性モモ黄肉品種’KU-PP2’についても、萌芽に影響する低温遭遇量と生育温度との関係を明らかにするために、樹を低温遭遇時間が250,500,750時間に達したときに、それぞれ15,20,25℃の人工気象室に搬入し、その後の生育を調査した。KU-PP1と同様にKU-PP2においても、低温遭遇量が大きいほど、また処理温度が高いほど、萌芽や開花が早まるとともに発芽率が高くなった。KU-PP1に比べて、KU-PP2で萌芽がやや早かった。ハウス栽培についても、KU-PP1に加えて、KU-PP2の生育も調査した。凍霜害を防ぐ程度の少加温栽培を両品種で行ったところ、KU-PP2においても、KU-PP1同様に少加温栽培により萌芽や開花がかなり促進され、収穫も露地に比べて1か月ほど早くなることが示された。前年までの温度と生育のデータ解析により、発育促進には生育期前半の温度が重要であることが明らかになったので、この時期のみ加温する前期加温栽培を少加温栽培と比較した。その結果、前期加温栽培ではさらに萌芽や収穫が早くなるものの、燃料コストとの兼ね合いが問題であった。県の試験場でもこれらの品種の露地栽培試験が行われ、露地でも通常の早生品種よりも早く収穫可能で、霜害の問題もないことが示された。さらに大学の附属農場および岡山と福岡の農家でもこれらの品種の試験栽培を行うことになり、異なる栽培条件下での生育試験が可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究室の院生2名とともに精力的にこの研究に取り組んでいるため、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
KU-PP1とKU-PP2の両品種について、ハウスでフル加温栽培を行って、少加温栽培や前期加温栽培と萌芽、開花、収穫などの生育を比較する。また、低温遭遇量と生育温度の関係について、人工気象室を用いて両品種の比較試験を行う。さらに、試験場や農家での試験栽培における生育を比較し、環境との関係を探る予定である。一方で、より萌芽や収穫の早い品種の開発のために、KU-PP1、2の交配で得られた種子の胚培養技術を確立する予定である。
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Causes of Carryover |
分析の失敗が少なかったため、試薬購入費が予定よりも少なくなり、次年度使用額が少し生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
もともと予定していた実験に加えて、試験場や附属農場等での実験も行う予定で、これらに使用する予定である。
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Research Products
(3 results)