2015 Fiscal Year Research-status Report
植物ホルモン類と関連遺伝子群の解析による単為結果性ナスの着果および肥大機構の解明
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26450041
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
菊地 郁 宮城大学, 食産業学部, 准教授 (30360530)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナス / 単為結果 / 染色体部分置換系統群 / 組織形態 / 植物ホルモン / 着果 / 果実肥大 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に組織形態的解析を行ったLS1934(非単為結果性ナス)と、LS1934を遺伝的背景として、果実肥大性を支配する2か所のQTL領域と着果性を支配する1か所のQTL領域をそれぞれ単為結果性ナスと置換したCSSLs(A,B,C系統)を用いて、植物ホルモン類の定量解析を行った。 解析時期は形態学的調査を行ったのと同様に、開花日、開花3,5,8,10,15日後とした。子房、および果柄部をサンプリングし、オーキシン、ジベレリン、サイトカイニンおよびアブシシン酸類の定量を行った。前年度の結果かから、果実の肥大には受粉や単為結果とは関係なく、細胞数の増加によって微量に肥大する初期肥大と、細胞の肥大に伴い急激に肥大する後期肥大がある事が明らかとなったが、今回の解析から、それぞれのステージに関連して変動する植物ホルモンがある事が明らかとなった。また、A系統では果実肥大後期に高まる植物ホルモンが、B系統では果実初期肥大期に高まる植物ホルモンが、C系統では、他の系統よりも低い傾向にある植物ホルモンがある事が明らかとなった。 今回同定されたこれら植物ホルモン類が、単為結果性に起因するものと考えられ、今後はこれら植物ホルモンを外生的に施与した時に、果実形態に同様の変化が得られるかどうか検討を行う。また、これら植物ホルモン類に関連する遺伝子群の単離を行い、26年度に行ったとの同様の組織を用いて、詳細な発現解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の組織形態学的解析によって、果実の肥大過程にいくつかの段階がある事が明らかとなったが、今年度は、植物ホルモン類を網羅的に解析した結果、発達段階に関連して内生量が変動する植物ホルモンを同定する事ができた。また、系統ごとに、その変動の様式にも違いがある事が明らかとなり、これらの植物ホルモンが果実の初期肥大や後期肥大、および単為結果性に大きく関与していると考えられた。 以上の事から、本研究は順調に進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度は、H27年度に特定した、単為結果性に深く関与すると考えられる植物ホルモンの関連遺伝子を単離し、果実成長に合わせて発現動態を解析する。 また、上記植物ホルモン類を非単為結果性ナスであるLs1934に外生的に施与し、果実発達過程において、どのステージのどの組織に影響を及ぼすかを解析する。これにより、特定した植物ホルモンと果実肥大および単為結果性との関係性についてより深く考察する。
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Causes of Carryover |
当該年度は概ね予想通りに予算を消化した。若干の残額が生じたが、これはやはり前年度に生じた残額が、そのまま今年度にも計上されたためと、予定していた分析点数を、予備試験なども含めて若干多く見積もっていたためと考えらえる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度生じた未使用残金は、最終年度に当たる事から、学会発表などの旅費にあてる予定である。また、今年度の助成金は、当初の予定通り植物ホルモン関連遺伝子の単離、発現解析に使用する試薬やプラスチック製品などの消耗品に計上する。
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