2015 Fiscal Year Research-status Report
ヤマノイモの腋芽をむかごへと誘導する現象を細胞化学的・生理化学的観点から解析する
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26450042
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
吉田 康徳 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (40291851)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | むかご / 切片 / 染色 / 枝葉の発育 / 灌水量 / 追肥 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、細胞分裂頻度の可視化するために、分裂部位の細胞を染色する手法の確立に取り組んだ。しかし、期待した細胞分裂部位が十分に染色されずに、可視化することができなかかったので、色素を赤から青に切り替えたところ、可視化の可能性が示唆された。また、可視化する場合の切片について、リアルタイムで作成でき、利便性の高い切片作成である凍結切片を導入した。切片作成の前処理や切片作成の条件を組み合わせた結果、当初、期待した切片が得られなかったが、液体窒素とドライアイスとの併用で、十分に質の高い切片が得られるようになった。オーキシンと糖代謝酵素の局財性については、上記の試験を優先するため、十分には進められなかった。むかごの発育が枝葉の発育に強く作用することから、異なる種芋重で、枝葉の発育に作用する灌水量と追肥時期の影響を検討した結果、枝葉の発育は、6月より多灌水した(6月多)で大きい傾向が認められ,8月より多灌水した8月多で同程度の大きさであったが,6と8月少では,逆に枝葉の発育は、小さい傾向が認められた.つまり,6月少による抑制効果はその後回復できないこと,8月の多灌水では枝葉の発育は促進されないことが示唆された.この影響は、特に種芋重50gで顕著であった.追肥時期と回数の影響は、対照の2回より1回少ない7月と8月追肥は同程度に小さい傾向が認められたが,無施肥とも同程度の大きさであったので,追肥が枝葉に及ぼす影響は不明瞭であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
期待した色素の染色および切片作成が十分に進展しなかったため、その改善のため、その実験を優先したので、他の実験の進みが遅れた。しかし、切片作成については、利便性の高い凍結切片の作成方法がほぼ確立できたので、今後は加速度的に進展するものと期待している。むかごの発育に作用する枝葉の発育についての知見も得られているので、特段問題なく進展できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、むかごの細胞分裂頻度を計測するのに必須である。切片作成の技術がほぼ確立できたこと、新たな色素の使用により、細胞分裂の部位の染色が期待できることから、目標とする細胞分裂頻度の視覚化が可能と判断している。また、むかごの発育には、追肥された窒素の大小が影響されるため、窒素の動態も含め検討する予定である。さらに、今年度取り組めなかったオーキシンや糖代謝酵素の局在性についても、精力的に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
本年度、前年度の繰り越しがあったことに加えて、予定していた実験の進捗が遅れたため、その実験に使用する試薬の購入費が少なくすんだこと、予定していた旅費の支出もなかったこと,予定していた人件費の支出も少なかったことが次年度使用額が生じた理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度であることを考慮し、計画的な支出を予定している。物品費として、試薬とキット、データ処理PCおよびサーモカメラの購入費を75万円、旅費で40万円(国際学会発表含む)、実験を補助用の人件費を57万円、英文校閲に10万円と計画し、5~10月で7割の支出、11~翌年3月まで3割の支出を計画している。
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