2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26450047
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
伊藤 康博 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品バイオテクノロジー研究領域, 主任研究員 (90353987)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トマト / MADSボックス転写因子 / 成熟 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はトマトの成熟が開始するメカニズムを解明することを目的とする。そこで、現在までに知られている、成熟のもっとも早い段階で機能する転写因子RINの発現誘導機構について検討する。RIN遺伝子は成熟期特異的に発現が生じ、それ以前には発現が全く見られない。これまでの研究担当者の研究から、RIN遺伝子のプロモーターに成熟開始期以前からMADSボックス転写因子FUL2が結合することが明らかになっており、FUL2がRINの初期誘導の鍵を握っている可能性がある。そこでFUL2と結合して転写制御を行う可能性のある因子を見出すことを試みた。 そこで成熟前果実のcDNAライブラリからFUL2と結合するタンパク質をコードする遺伝子を見出するために、酵母ツーハイブリッドシステムによるスクリーニングを行った。FUL2全長タンパク質をベイトとしてスクリーニングを行い得られた86クローンについて塩基配列解析から遺伝子を決定したところ、MADSボックス転写因子であるTM29をコードしているクローンが得られた。さらに、FUL2タンパク質の後半部分をベイトとしてスクリーニングも行い430コロニーに関して解析を行ったが、MADSボックス転写因子遺伝子は得られなかった。次にFUL2とTM29のタンパク質を同時に試験管内合成し、DNAへの結合性をゲルシフトアッセイにより検討したところ、明確な結合性を示した。これらの結果から、FUL2の協調因子としてTM29が候補に挙がった。 しかしながらTM29に関して、発現を抑制した組換え体の報告が既にあり(Ampomah-Dwamena et al. 2002)、花器官や果実の発達、あるいは花芽分裂組織の維持に機能しているとされ、成熟への関与については報告がない。組換え体の果実は極めて異常な形態を示すことから成熟制御への関与を検討することは困難が予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
26年度は予定どおりFUL2結合タンパク質のスクリーニングを大規模に実施し、候補となるMADSボックス転写因子をコードする遺伝子TM29の取得に至った。したがって、ここまでは当初計画に沿った実施状況といえる。しかしながら、当初計画ではFUL2結合遺伝子の発現抑制による機能解析を実施することとなっていたが、TM29に関しては過去に検討が行われており、成熟制御の検討には困難なフェノタイプが報告されていることから、当初計画を実施してTM29の発現抑制組換え体を作出することで研究目的が達成されるとは考えにくい。したがって研究計画の変更が必要となることから、計画よりも遅れているという評価にならざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
成熟前におけるFUL2の結合因子を同定するため、成熟前の果実で発現が認められるMADSボックス転写因子遺伝子を、次世代シーケンサを用いたRNAシーケンス解析による網羅的発現情報から選抜し、その遺伝子を無細胞系で発現するプラスミドベクターを構築する。これを用いて無細胞系でFUL2と当該MADSボックス転写因子を同時に発現させ、ゲルシフトアッセイにより結合を確認すると同時にDNAへの結合能も同時に評価する。これによりFUL2結合性を示す標的を見出す。また、別プロジェクトでRIN遺伝子が全く翻訳されない変異体を作出したので、これを利用すると成熟が始まらないため成熟前のFUL2のRINプロモーターへの結合が明確になると考えられる。この変異体を利用してChIP解析によりRINプロモーターへのFUL2の結合状況を検討する。
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Causes of Carryover |
論文掲載が決定したため掲載費を確保していたが請求が年度内に来なかったので。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文掲載費。
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