2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26450066
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高須 啓志 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50212006)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 野外行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年4月~7月に福岡市クズ群落においてマルカメムシの産卵およびマルカメクロタマゴバチの寄生行動調査を行った。その結果、マルカメムシは午後12時~午後1時をピークに午前11時~午後4時に産卵を行うこと、晴天では産卵は午後11時~午後1時前に集中するが、曇りの日には午後12時~午後4時までだらだらと産卵する個体が続くことがわかった。また、マルカメクロタマゴバチの産卵行動も晴天か曇りかで異なり、晴天日には、午後4時から午後7時に新しくその日産み付けられた寄主卵上に現れ、卵近くで休息し、日没後に産卵を開始した。一方、曇りの日には、夕方に蜂の出現がピークになることなくだらだらと寄主卵に粟割れた。このことから、寄生蜂の活動には照度が強く関与することが示唆された。また、寄主密度が低下する6月中旬以降には、1寄主卵に2頭以上の寄生蜂が訪問することが頻繁にあったが、その場合、大半の寄生蜂は同じ寄主卵近くに留まり、産卵行動を行い、その場所に1頭で産卵する場合より長く滞在した。この観察から、マルカメクロタマゴバチの成虫間の干渉による強い種内競争があることが示唆された。また、東京都内においてもマルカメムシ卵とマルカメクロタマゴバチの寄生率の季節的消長を調べ、6月中旬以降カメムシタマゴトビコバチの寄生率が高くなり、マルカメクロタマゴバチの寄生率が低下する福岡市と異なり、マルカメクロタマゴバチの寄生率が季節後半でも高いまま維持されることがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画どおり野外調査を実施し、寄生蜂が夕方探索行動を活発化させ、夜間に産卵行動を示すことを明らかにしたなど結果が出ているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度も野外調査を繰り返し行い、昨年度観察された寄主と寄生蜂の行動パターンの再確認を行う。また、種内競争の重要性が明らかになったため、室内実験により種内競争(成虫間の干渉)を詳しく調べる。さらに、福岡市と東京都で季節的寄生消長が大きくことなったため、本年度再度、両地点で野外の季節的寄生消長を調べる。
|
Causes of Carryover |
物品費として50万円計上したが、ビデオカメラ等が安く購入できたため物品費総額を低くできたことと、計画していた国内学会等は別資金にて拠出したため、旅費総額が引くくできたことにより、約32万円を翌年に繰り越すことになった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年10月にスペインで開催される国際会議 The 4th International Entomophagous Insects Conferenceに参加予定であり、昨年度からの繰越金32蔓延はその旅費として使用する。
|