2015 Fiscal Year Research-status Report
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26450066
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高須 啓志 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50212006)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 寄生蜂 / マルカメムシ卵 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、4月~8月に例年と異なる気候およびキャンパス内でのクズ群落伐採により、野外の調査が継続してできなかったため、室内実験を主に行った。 まず、マルカメムシ卵を寄主として利用するマルカメクロタマゴバチとカメムシタマゴトビコバチの種内競争を寄主探索・利用効率と共寄生寄主内での幼虫間の競争の観点から調べた。その結果、2種成虫間の寄主探索・利用効率は産卵中攻撃性を示すマルカメクロタマゴバチが優位であった。しかし、2種の卵が産みつけられた寄主内では、カメムシタマゴトビコバチが競争に勝つ場合が多いこと、マルカメクロタマゴバチの終齢幼虫に二次寄生することが明らかになった。以上の結果は、単食性寄生蜂と多食性寄生蜂の繁殖戦略を反映したもので、野外でどちらが優位になるかは、両者の相対的な個体数によることが推察された。また、福岡および東京における野外調査の昨年度までのデータを解析した結果、福岡と東京で寄生蜂の発生パターンが異なることがわかった。福岡ではマルカメクロタマゴバチが5-6月優勢であるが、7月以降カメムシタマゴトビコバチが優勢になること、東京では5-6月はマルカメクロクロタマゴバチが優勢になるが、7月以降は場所によって異なり、一部ではマルカメクロタマゴバチが優勢を維持するが、他の場所では福岡と同様カメムシタマゴトビコバチが優勢となった。これは、東京ではカメムシタマゴトビコバチの発生量が福岡ほど多くないことに起因すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野外調査は、昨年度調査場所伐採や気候変動にて福岡にて継続調査できなかったものの、室内実験も予定どおり進んでいる。これまでの結果の解析も進み、1論文を投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度、福岡で場所を選定し新たな調査地点で野外調査を実施する。引き続き、室内研究により2種寄生蜂の生態を解明する。また、その結果を少なくとも2論文としてまとめて投稿する。
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Causes of Carryover |
昨年度は、野外の天候不順と調査場所の予期せぬ草刈りにより野外調査が十分に行えず、予定していた消耗品を購入できなかったため、前年度未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、野外調査を着実に実施するために、調査補助のための人件費を予定より多く計上する。
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