2015 Fiscal Year Research-status Report
シロイヌナズナ環境型間の比較による高アンモニウム環境への適応機構の解明
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26450073
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小島 創一 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (30462683)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 窒素栄養 / アンモニウム / シロイヌナズナ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はGS1のアイソザイムの中でも、GS1;2とGS1;3に着目して研究を行った。GS1;2を欠損する植物と、GS1;3を欠損する植物を準備した。これらの植物を様々な濃度のアンモニウムを主要な窒素栄養とする水耕液で栽培した。試験したほとんどのアンモニウム濃度区でGS1;2の欠損はシロイヌナズナの生育を阻害した。GS1;2とは対照的に、GS1;3の欠損は植物の生育を大きく阻害しなかった。 本研究はシロイヌナズナの環境型間でアンモニウムの利用効率に差異を与える低親和型アンモニウム輸送体遺伝子の同定に取り組んでいる。北米産のColumbia (Col) は、アンモニウム供給で成育が阻害されるが、欧州産のLandsberg(Ler) は、アンモニウム環境に適応を示した。LerのLATSの容量は、Colのそれよりも二倍高かった。また、アンモニウムの供給で、Lerは主根伸長を抑制し、側根を発達させるが、Colは主根伸長が脱抑制されることがわかった。量的形質解析の結果、アンモニウム供給による根の形態変化を支配する遺伝子領域を5つ同定した (Kojima unpublished)。 様々なシロイヌナズナ環境型の高濃度なアンモニウム輸送を評価したところ、根の形態と高濃度アンモニウム輸送に逆相関が存在する可能性が示唆された。低親和型アンモニウム輸送を担う可能性がある膜タンパク質について、ゲノム配列の比較に取り組んでいる。低親和性アンモニウム輸送と連鎖する膜タンパク質の発見には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
三つある研究テーマのうち、一つ目と二つ目の研究テーマについて学術論文の投稿に必要なデータを取り終えた。 二つ目のテーマについては論文作成を完成させ、学術論文を投稿して審査を待っている。 一つ目のテーマからは、論文の作成に取り組んでいる。 二つ目のテーマについてもう一つ学術論文を作成できる可能性が出てきたので、当初の予定よりも早く進展した。 一方、三つ目のテーマはあまり進展していない。全体的に考えると概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
一つ目のテーマについては投稿論文の完成を急いでいる。 二つ目のテーマについては、投稿した論文が受理されずに追加の実験を要請された時に即応できるようなゆとりをもたせている。二つ目のテーマから派生した研究は、表現型解析を中心とした解析を展開する。今までに行ってきた解析とかけ離れた解析を盛り込む予定はない。そのため安定的に結果を付け加え、投稿論文の作成を目指す。 三つ目のテーマについては、二つ目のテーマに包含されるか、二つ目のテーマから出てくるデータを解釈しながら研究を進展させる必要がある。
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Causes of Carryover |
解析する試料を厳選して物品費を節約した。また近傍の都市で開催される学会に参加するようにした結果、旅費の節約ができた。その反面、受託解析に要した費用が大き買った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度は解析する試料の数を多くできるように受託解析の支出を大きくし、研究成果を公表するための出版費用やその研究成果をオープンアクセスとするための費用に使用したいと考えている。
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Research Products
(5 results)