2015 Fiscal Year Research-status Report
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26450087
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小川 直人 静岡大学, 農学部, 教授 (60354031)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トランスポーター / 芳香族化合物 / 応用微生物 / 細菌 / 発現制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
トランスポーター遺伝子の定量Reverse-Transcription PCRによる発現解析。B. multivorans ATCC17616株の野生株について、クエン酸(対照区)、安息香酸、3-クロロ安息香酸(3-CB)をそれぞれ基質として液体培養を行い、benK2, benK3, benK4各遺伝子群の発現を、LightCycler RNA Master SYBR GreenⅠキット(Roche)と、ライトサイクラー2.0 インスツルメント(Roche)を用いて、定量Reverse-Transcription PCR(定量RT-PCR)により詳細に解析した。その結果、前年度に報告した半定量RT-PCRによる解析結果で見られた傾向を確認するとともに、より詳細な解析結果が得られた。benK3は前培養及び各本培養の培地で発現していたため、構成的に発現しているという半定量RT-PCRの結果が確認された。一方、benK2は全ての培地で発現していたが、安息香酸、3-CBでより強い発現が見られることを明らかにした。さらにbenK4は、3-CBで特に強く発現することが明らかとなり、3-CB培養での対数増殖期中期における発現量はクエン酸、安息香酸それぞれの培養の同時期に比べて150倍及び3.5倍であった。以上の結果と、benK4遺伝子が3-CB分解遺伝子群の近傍に存在してクラスターを形成していることから、3-CBの取り込みには少なくともbenK4は関わっていることをほぼ確定した。既知の芳香族化合物トランスポーターに対するbenK2、benK3、benK4各遺伝子とのアミノ酸レベルでの相同性も考え併せると、芳香族化合物のトランスポーターがターゲットとする化合物の取り込みに寄与する程度に関しては、アミノ酸レベルでの相同性と強い相関関係があるわけではなく、その化合物が存在するときに発現されることが重要であることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トランスポーター遺伝子群の発現を解析するための定量RT-PCRの手法を確立して、同遺伝子群の発現を詳細に解析することができた。その結果、少なくともbenK4遺伝子が3-クロロ安息香酸の取り込み関与することを明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
3-クロロ安息香酸、安息香酸の取り込みに関与する可能性があるさらに他のトランスポーター遺伝子として、ゲノム情報から絞り込んだ4つの候補について、その遺伝子発現を解析すること等により、取り込みへの関与を明らかにする。また、RNA-seqにより遺伝子発現を網羅的に解析し、トランスポーター遺伝子群の発現のプロファイルや、関連する可能性のある遺伝子群を明らかにする。
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