2014 Fiscal Year Research-status Report
微生物由来N-アセチルトランスフェラーゼの機能解析とR体アミノ酸合成への応用
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26450089
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
竹中 慎治 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40314512)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 微生物酵素 / N-アセチルトランスフェラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、新規なN-アセチルトランスフェラーゼを生体触媒として利活用するために、Chryseobacterium sp. 5-3B株由来N-アセチルトランスフェラーゼについて「酵素の特性・構造解析」および「形質転換株による酵素発現と物質変換の最適化」に取り組むものである。分離菌5-3B株は、N-アセチルトランスフェラーゼによりRS-2-フェニルグリシンのS-体のみを立体選択的にN-アセチル化する。その結果、高付加価値なR-体が得られる。そこで、高付加価値なフェニルグリシン類の生産に同酵素を利活用すべく、同酵素遺伝子をクローニングし、その特性や構造の解析に着手した。 本酵素遺伝子の塩基配列から推定されるアミノ酸配列についてデータベースを用いて解析すると、既報の類縁酵素類とは全く異なっていることが分かった。しかし、アミノ基をN-アセチル化する既報の酵素類の配列を基にすると、アセチルCoAの結合にかかわるアミノ酸残基を推定することができた。同酵素を大腸菌にて高発現させる宿主ベクター系と培養条件を確立できた。また、基質特異性(立体選択性)や安定性等は親株5-3B株由来酵素と同一であった。そこで、アセチルCoAの結合にかかわると推定されるアミノ酸残基5つについてアミノ酸置換することでその機能を調べると、変異酵素はN-アセチルトランスフェラーゼ活性が極端に低下していた。アセチルCoAからアミノ基へのアセチル基転移反応にはシステイン残基が極めて重要な働きを示すことから、システイン残基を変異させた酵素について調べると、酵素活性は3倍以上となるが立体選択性は維持されたままであった。 アミノ酸置換によって本酵素を解析すると、既報の類縁酵素とは異なる機構でアセチル基が転移されることが分かった。アセチル基転移および基質の立体選択性にかかわるアミノ酸残基の推定には本酵素の結晶構造解析が必要であるため、2015年度は結晶化条件の検討にも取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酵素の機能解析に必要な、組換え酵素を活性体として得る方法を確立でき、組換え酵素およびアミノ酸置換変異酵素を用いて更なる特性解析が行えるため。
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Strategy for Future Research Activity |
組み換えN-アセチルトランスフェラーゼおよび同酵素のアミノ酸置換体を用いて基質特異性(立体選択性)を中心に酵素の特性解析を行う。特に、2014年度見出したCys置換変異酵素について、フェニルグリシンおよびそのクロル基や水酸基誘導体に対する活性を調べる。親株酵素と比較して触媒効率や立体選択性が向上しているならば、大腸菌形質転換株によるフェニルグリシンの光学分割法を検討する。 組換え酵素が大量に得られることから、菌体破砕後得られた細胞抽出液中の組換え酵素を各種クロマトグラフィーにより精製するつまり、Hisタグ酵素精製用のアフィニティーカラムおよびゲル濾過カラムクロマトグラフィーにより精製する。続いて、市販の酵素結晶化スクリーニングキットを用いながら、結晶化条件を検討する。
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Research Products
(4 results)