2016 Fiscal Year Research-status Report
新規抗真菌剤開発のための糸状菌由来ガラクトフラノース転移酵素群の機能解析
Project/Area Number |
26450106
|
Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
岡 拓二 崇城大学, 生物生命学部, 准教授 (50510690)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 糸状菌 / 糖鎖 / 細胞壁 / ガラクトフラノース / 糖転移酵素 / Aspergillus fumigatus / 肺アスペルギルス症 |
Outline of Annual Research Achievements |
病原性糸状菌Aspergillus fumigatus 由来のGfsAに関する機能解析を進め、本酵素がβ1,5-ガラクトフラノース (Galf) 転移酵素であることを示す、確固たる証拠を得た。パラニトロフェノールにβ-ガラクトフラノースを結合させた基質であるpNP-β-Galfと大腸菌を用いて発現および精製した組換えGfsAをUDP-Galfとともに反応させることで新規に合成された化合物Aを約1 mg精製し、LC-MS、1H-NMRおよびメチル化分析に供した。その結果、化合物Aの分子量はGalf-Galf-β-pNPの分子量と完全に一致した。また、化合物Aに対する1H-NMRによってGalf-β1,5-Galf- 結合に固有のケミカルシフト(5.226 ppm)を検出することが出来た。さらに、化合物Aをメチル化分析に供したところ、Galf-β1,5-Galf- 結合をもっていることが明らかになった。以上の結果より、GfsAは、UDP-Galf β-Galf: β1,5-galactofuranosyltransferaseであることが明らかになった。一方で、gfsA破壊株より抽出した真菌型ガラクトマンナンの構造を1H-NMR、13C-NMRおよびメチル化分析によって解析したところ、gfsA破壊株では、真菌型ガラクトマンナン中のGalf-β1,5-Galf結合が減少していることが示された。これは、GfsAが真菌型ガラクトマンナン中のGalf-β1,5-Galf結合の生合成を担っていることを示す初めての証拠となった。さらに、酵素的な諸性質の解析についても進め、本酵素の最適反応条件を決定した。GfsAの立体構造解析については、結晶が得られ、結晶解析を試み、いくつかの座標が求められたが構造の解明には至らなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GfsAについて、酵素機能がUDP-ガラクトフラノースを糖供与体として、β-ガラクトフラノースにβ1,5-ガラクトフラノースを転移する酵素であることを初めて明らかにすることができた。また、GfsAが真菌型ガラクトマンナンのGalf-β1,5-Galf結合の生合成を担っていることを初めて示すことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、GfsAのパラログであるGfsB-Hについて解析を進めていく。GfsAの立体構造解析についても進めていく。今後、糸状菌のガラクトマンナン生合成の全貌を明らかにしようとしている。このことは近い将来、新規な作用機序を持つ抗真菌薬の開発に繋がるものであると信じている。結晶化についても、基質との共結晶を取得し、構造解析を進めていく。
|