2016 Fiscal Year Annual Research Report
The role of bacterial toxin-antitoxin genes on biofim formation
Project/Area Number |
26450110
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中島 信孝 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (70357622)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | バイオフィルム / 大腸菌 / トキシンアンチトキシン |
Outline of Annual Research Achievements |
バイオフィルムとは、微生物が細胞外多糖や細胞外DNAなどと共に、界面や固体物表面に高密度に存在している構造体を示す。バイオフィルムは汚水処理などバイオテクノロジーの分野では人類に対して有益な面もあるが、医療器具(カテーテルなど)や人体組織表面(歯など)における病原菌の住処になり、重篤な感染症を引き起こすことがある。 本研究では、単一細菌由来のバイオフィルム形成系として野生型大腸菌株MG1655を使い、バイオフィルム形成に関連があると考えられているtoxin-antitoxin遺伝子(以降TA遺伝子)の役割を解析することで、それぞれの遺伝子がバイオフィルム形成にどのように関与しているのか解析した。本研究では、大腸菌が持つtypeⅡのTA遺伝子19個の中からバイオフィルムの増加に繋がる遺伝子を絞り、またそれらのT遺伝子がどのような遺伝子と連動しているかを一部明らかにすることができた。 Miseqによる遺伝子解析の結果によって、通常の大腸菌と比較して、T遺伝子を過剰発現させた大腸菌ではバイオフィルムの形成量が増加あるいは変化しないに関わらず、膜タンパク質や膜輸送タンパク質をコードする遺伝子の発現量が増加している事が分かった。加えて、T遺伝子の過剰発現によってバイオフィルムの形成量が変化しない大腸菌においては、酸化還元酵素をコードする遺伝子の発現量も増えていることが分かった。これは、バイオフィルム内外で大腸菌同士が細胞間シグナルを伝達する為に、膜タンパク質や酸化還元酵素が活発に発現しているのではないかと考えられる。
|