2015 Fiscal Year Research-status Report
酵素による新しい糖質活性化法とこれを用いた配糖体合成システムの開発
Project/Area Number |
26450114
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
奥山 正幸 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (00344490)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | スクロースアナログ / β-フルクトフラノシダーゼ / グリコシダーゼ / 糖転移反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
グリコシダーゼは元来糖質の加水分解を触媒するものであるが,新たにグリコシド結合を形成する反応(糖転移反応)も触媒する.糖転移反応は,糖供与体基質が安価なことから,工業的な糖質合成にはしばしば用いられる重要な反応である.基質が高濃度の場合,また糖供与体の反応性が高い場合に糖転移反応が顕著に触媒される.反応性の高い基質を得る方法として,化学的にフッ素化した糖質がしばしば用いられるが,本申請研究では,手軽に安価に反応性の高い基質を得るべく,β-フルクトフラノシダーゼを用いて糖質のフルクトシル化したスクロースアナログを糖供与体として用いる系を確立することを目的としている.今年度の研究実績のひとつは,スクロースアナログを合成を効率化するためにβ-フルクトフラノシダーゼの転移メカニズムについて研究を行ったことである.合理的酵素改変により,糖転移反応の特異性を制御することに成功し,2016年度の日本農芸化学会年次大会においてその成果を発表した.また,得られたスクロースアナログの精製方法を確立し,いくつかのスクロースアナログの単離することができた.一方で,得られたスクロースアナログは,野生型グリコシダーゼの糖供与体としては機能しないことが明らかとなった.そこで合理的変異導入により,スクロースアナログを基質とする変異酵素の作製を試みたが,有意な結果は得られていない.そこで,ランダムな変異酵素ライブラリーから有意な変異酵素を得るスクリーニング方法を確立した.今後はこの系によりスクロースアナログを基質とできる酵素を取得する予定である.交付申請書計画にあったスクロースシンターゼの大腸菌生産系は確立しているが,スクロースアナログを基質とする変異酵素は合理的変異では得られていない.こちらについても,ランダムライブラリーからのスクリーニングを行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
様々なスクロースアナログの合成とこれの精製法の確立については終了しているが,当初計画にあったスクロースアナログを基質とできるグリコシダーゼの取得について遅れている.またスクロースシンターゼについても,大腸菌発現系は確立しているが,変異酵素の取得に至っていない.総合的に評価して,27年度の達成度をやや遅れている,とした.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である今年度は,スクロースアナログを基質とできる各種グリコシダーゼ,スクロースシンターゼをランダム変異ライブラリーから取得することに重点をおく.また,ゲノム情報をもとにスクロースアナログを基質とでき得る酵素をバイオインフォマティクス的手法により,取得することも視野に入れる.スクロースシンターゼとスクロースアナログを用いた各種糖ヌクレオチド合成法を確立し,この反応と糖ヌクレオチドを基質とする糖転移酵素をカップリングさせたオリゴ糖,配糖体合生産にも着手する.
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Causes of Carryover |
ランダム変異ライブラリー作製・スクリーニングのために購入した卓上小型振盪機が当初の予定額より安価であったため.3月納品4月払いの項目があるため.また3月末に行われた日本農芸化学会参加費の決済が3月中に終わらなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
差額に関して10000円は2016年度日本農芸化学会大会参加費として,残額については,28年度の糖質の酵素による作製実験の消耗品として使用する予定である.
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Research Products
(15 results)